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講義No.09511

「自分」とは何か? ~アイデンティティの分析から社会を考える~

多様な背景の交差点に生きる

 あなたは女性でしょうか、男性でしょうか? どこに住んでいますか? 世の中にはさまざまな人種的背景、国籍、宗教、言語、文化を持つ人々がいます。また、学生なのか、結婚しているか、子どもがいるかなど、それぞれの持つ社会的背景も多様です。その中には弱い立場の人もいます。世界中に移民の問題がありますが、「移民」であり「女性」であれば、二重に弱い立場に立たされます。それを「インターセクショナリティ」と呼びます。インターセクションとは交差点の意味です。多様な文化的・社会的背景や差別は折り重なり、交差しているのです。

アイデンティティとは何か

 「アイデンティティ」というと、「自分らしさ」や「個人の心の中の葛藤」と思う人がいるかもしれません。しかし、自分が自分であることは自分一人では決められないはずです。例えば、自分が貧しい家に生まれたのは自分のせいではないけれど、それによって貧困という立場に置かれてしまいます。他者にどう見られるのか、社会にどう扱われるかという部分が、自分が考えていることより多くを占めるのです。それゆえ、「アイデンティティ」という問題は社会の仕組みから考えていく必要があるのです。

社会学は変革の学問

 私たちは自分が複雑な背景からできていることは理解できますが、ほかの人もそうだと認めることはなかなかできません。簡単な答えに飛びついてしまうと、見た目だけで人を判断したり、「貧しい国では犯罪が多い」というように、短絡的に判断したりしてしまいます。こういった「ステレオタイプ」な考え方は、「アイデンティティ」の複雑さを考えないために起きるものです。
 誰であれ、背後にある社会の構造やその人の持つ特殊性などを考えると、「アイデンティティ」を成り立たせている複雑性が見えてきます。自分が知っていると思っているものを、本当にそうかと、批判的に見ながら分析していくのが社会学です。そこから論じないと社会は変わりません。社会学とは変革の学問なのです。

夢ナビライブ2019 東京会場

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「海外」の日本女性像

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日本女性の「多様化」

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この学問が向いているかも 社会学、ジェンダー学、日本学

津田塾大学
学芸学部 英語英文学科 講師
北村 文 先生

先生の著書
メッセージ

 あなたは、「自分とは何か」ということを考えたことがありますか? 実はみんな悩んでいます。わからないのが当たり前なのです。答えが見つかったと思う瞬間があっても、生きていくと考えが変わることもあります。
 私は学ぶことを通じて、考え続けること、悩み続けることの楽しさを知りました。答えが出ないことはしんどいことかもしれません。焦ったり、イライラしたりすることもあるかもしれません。でも、わからないことは悪いことではありません。葛藤(かっとう)して、混乱して、考え続けてください。

先生の学問へのきっかけ

 英語が好きだった私は、高校生の時に外国人との交流会に参加しました。普段通りにしていたのですが、「日本人の女の子らしくないね」と言われたことで、気持ちがもやもやとしました。単に一高校生として振る舞っていただけなのに、それを「日本女性らしさ」というものと比べられ、さらに「らしくない」と言われたことに気持ち悪さを感じたのです。以来、「日本」や「日本女性」とはどういうものなのかを考えるようになったのが、アイデンティティを研究するきっかけです。社会学とは、当たり前のことを少し疑いながら分析する学問です。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

官公庁多文化共生推進/青年海外協力隊/NPO・NGO職員/教員(中学校、高等学校)

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北村 文 先生がいらっしゃる
津田塾大学に関心を持ったら

 西暦1900年、津田梅子によりわが国初の女子高等教育機関の一つである「女子英学塾」として誕生。本学はall-round womenの養成(全人教育)という創立者の先覚的で熱烈な理想に基づき、学生の個性を重んじる少人数教育と高度な教育研究を積み重ねています。卒業生の多彩な活躍と社会的な貢献-男性と女性の真の共生の実現は創立者津田梅子の願いであり、本学が真摯に取り組んできた課題です。性別や世代や国境を越えた交流、大学と地域との交流や「学び合い」を通して、より豊かな人間性を育みます。

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