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講義No.09509

神経変性症という難病を治す、治療薬のつくり方とは?

遺伝子が原因となる神経の病気

 神経の病気である神経変性症は遺伝子の異常が原因の病気です。病気によって異常化した遺伝子自体を治すことは困難です。しかし、病気の進行を抑えることはできます。病気は、異常化した遺伝子からできた異常なタンパク質が、その周辺にある正常なタンパク質を侵食し、おかしくしてしまうことで進行します。それを薬で食い止めることで、病気の進行を抑えることができるのです。

さまざまな神経変性症

 神経変性症には、小児が発症するCMT(シャルコー・マリー・トゥース病)やPMD(ペリツェウス・メルツバッハー病)といった難病があります。CMTは手足の感覚や痛みを感じなくなったり、体が震えだしたりする病気です。PMDは脳神経の病気で、乳幼児期に発症し、脳の中核となる信号がなくなってしまいます。筋肉も発達せず、自分で息をしたり立ったりすることができなくなり、ひどい場合だと首が据わりません。最終的には脳が溶けるような表現形も認められます。今のところ、完全な治療薬はありませんが、神経の壊れ方など、病気の全貌(ぜんぼう)が徐々にわかってきています。

神経変性症の治療薬のつくり方

 治療薬の開発では、まず、病態を模倣するような神経組織を人工的につくります。そこにいろいろな薬をかけて、分子標的を見つけ出すのです。分子標的とは、薬の標的となる分子のことで、この場合は、異常なタンパク質分子です。分子標的がわかれば、異常なタンパク質が正常なタンパク質を侵食しないよう、ブロックするような薬を考えていきます。薬は化合物や低分子など、さまざまなものが考えられます。
 ただし、マウス実験では成功しても、人体でも有効か、また、人体に危険がないかはわかりません。そこでiPS細胞などを利用して、より人の病態に近い神経組織をつくる試みがなされています。有効な薬が開発されれば、CMTやPMDといった難病で命を落とす子どもたちを救うことができるのです。

夢ナビライブ2019 東京会場

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この学問が向いているかも 分子生物学、生命科学、医学

東京薬科大学
生命科学部 分子生命科学科 教授
山内 淳司 先生

メッセージ

 今、好きなことがあるなら、ぜひその道に進んでください。それぞれが好きな方面に進むことで、社会も豊かになるはずですし、今の日本にはその環境があります。例えば、人間の体のことを研究したければ、昔は医学部に行かなければなりませんでしたが、今は生命科学部など、選択肢は多様です。
 ただし、進む道を決める際に、あまりSNSの情報に振り回されない方がいいでしょう。SNSでは、その性質上、負の側面ばかりが強調されがちです。前向きに好きなものを突きつめていってください。

先生の学問へのきっかけ

 私の専門分野は分子生物学ですが、子どもの頃に興味があったのはプラモデルでした。一見生物分野とはかけ離れていましたが、大学で生物が分子で構成されていることを学び、生物の構造がプラモデルそっくりだと思ったのです。生物に対してめばえた興味は、そこから次第に「神経の再生」へと向かいました。人工的に神経組織をつくり、病気を治すことに役立てられないかと考えたのです。特に、未来ある子どもに特有の病気を治したいと思い、生まれつきの神経の病気を治す、あるいは進行を遅らせる薬づくりのための基礎研究を進めています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

国内外の製薬企業研究員/国内外の大学および国研の研究員/国家公務員/地方公務員/製薬企業開発職

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山内 淳司 先生がいらっしゃる
東京薬科大学に関心を持ったら

 東京薬科大学は私立で最初の薬学部と、日本で初めての生命科学部を併せ持つ大学です。
 緑に映える赤レンガのキャンパスでは、両学部とも多彩な実験や研究活動を通じて、学生が自ら考える力を伸ばすこと、医療分野、生命科学・環境分野でヒューマニズムあふれるスペシャリストの育成を目指しています。

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