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講義No.09500

大気の中では何が起こっている? レーザーが解き明かす大気の秘密

オゾン層を破壊している物質

 オゾン層の破壊には、フロンガスが大きく関係しています。初期に開発されたフロンの一種であるクロロフルオロカーボンという炭素とフッ素と塩素から成る化合物は、非常に安定しており、毒性もほとんどない点が特徴です。事故などで燃えたり、中毒を起こす可能性が低いことから、車などのエアコンに使われてきました。しかし、その高い安定性が仇となり、大気中に放出されてもほとんど壊れず、成層圏の上部まで拡散します。そこでようやく、波長の短い紫外線によって壊れるのですが、その際、発生する塩素原子の触媒作用によってオゾン層を破壊してしまいます。

大気中の物質の反応を解き明かす

 オゾンに限らず、大気中には無数の物質が存在しています。一部の例外を除き、基本的にはあらゆる物質が大気中で反応を起こし、変化します。例えば、自動車に使われるガソリンも徐々に蒸発しますが、そのまま溜まり続けるわけではありません。大気中ではフリーラジカルという非常に活性の高い物質がごく微量に生成されており、その一つであるOHラジカルがこの蒸発したガソリンと反応を起こし、それをきっかけとして段階的に水と二酸化炭素に分解されます。このように、大気中に含まれる物質が反応するメカニズムを解き明かす学問が「大気化学」です。

大気中の物質を測定するレーザー

 大気化学の世界では、ごく微量の物質の測定方法がさまざまに開発されてきました。中でも、蛍光性の物質を高感度で検出できるレーザー誘起蛍光法や、密閉された空間でレーザーを反射させ微弱な光吸収を高感度で検知できるキャビティーリングダウン分光法などが開発され、大気化学の発展に貢献してきました。そのほか、1970年代からフィールド観測で使われるようになったライダー(LIDAR)は、レーザー光を上空に発射し、散乱して戻る光を調べることで、大気中に含まれる微粒子がどの高さにどれぐらいあるかを測定することができます。測定距離は上空40~50km程で成層圏までもカバーできます。

夢ナビライブ2019 東京会場

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色々なレーザー

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光による分子の測定法

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地球大気の化学組成

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講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 大気化学

京都大学
工学部 地球工学科 環境工学コース 教授
橋本 訓 先生

メッセージ

 スポーツの世界では、競技にかかわらずジョギングや筋トレが大切であるように、大学に進んで研究活動をする上でも、学問的な基礎が必要になります。私たちは、現在注目されている最先端のテクノロジーや技術に目が向きがちですが、10年後にもそれが残っているかどうかはわかりません。
 むしろ、今、何の役に立つかわからないことでも、少しでも興味や関心を抱いたことがあれば、ぜひ勉強しておくことが大切です。そうした地道な勉強があってこそ、新しい研究や技術が生み出されていくのです。

先生の学問へのきっかけ

 私は、大気化学を専門に研究をしてきました。私が小学生の時代の日本は、現在よりもさまざまな環境汚染が問題とされていました。私も連日のように報道されるニュースを見ていたことから、大気や環境への関心を抱くようになりました。それと同時に、物質が化学的な反応によってさまざまに変わっていくことにも興味をもっていました。大学では理学部に進み、有機化学を専攻。液体の反応などを中心に研究し、大学院を経て国立公害研究所に就職します。そこで、大気汚染やガスの研究に携わるようになり、現在につながります。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

研究機関研究員/公官庁技術職員・研究員/エネルギー関連企業研究員

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橋本 訓 先生がいらっしゃる
京都大学に関心を持ったら

 京都大学は、創立以来築いてきた自由の学風を継承し、発展させつつ、多元的な課題の解決に挑戦し、地球社会の調和ある共存に貢献するため、自由と調和を基礎にして基本理念を定めています。研究面では、研究の自由と自主を基礎に、高い倫理性を備えた研究活動により、世界的に卓越した知の創造を行います。教育面では、多様かつ調和のとれた教育体系のもと、対話を根幹として自学自習を促し、教養が豊かで人間性が高く責任を重んじ、地球社会の調和ある共存に寄与する、優れた研究者と高度の専門能力をもつ人材を育成します。

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