夢ナビ夢ナビは、さまざまな言葉をデータベースから検索・閲覧し、将来の進路を決める“きっかけ”を提供します。

講義No.09499

クラゲに乗ったり、卵になりすましたり……プランクトンの意外な生態

意外と知らない、「プランクトン」の意味

 「プランクトン」と聞いてどんなものを思い浮かべますか? 池や田んぼのミジンコを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、プランクトンはミジンコだけではありません。実は、水中にぷかぷかと漂う生物を皆、プランクトンと呼ぶのです。例えばクラゲのようなある程度大きな生物でも、水中を漂っていればプランクトンですし、魚の卵やカニの幼生などもプランクトンです。それに対して、水底で暮らすエビやカニ、ヒラメのような魚を「ベントス」、マグロやイワシの成魚など、自分で移動できる能力の高いものを「ネクトン」と言います。

クラゲに乗ったり、卵に擬態したり

 海の中には不思議な生態を持ったプランクトンがいます。例えば、クラゲの上に乗って生活するウチワエビの幼生がそうです。しかもそのウチワエビの幼生は、なんとそのクラゲを餌にもしているのです。いわば「寄生」です。クラゲには毒があるのですが、ウチワエビはその毒におかされないような仕組みを体内に持っています。
 生物に寄生するプランクトンはほかにもいます。例えば、エビやカニの卵に擬態(あるもののさまに似せること)して、寄生するミジンコの仲間がいます。エビやカニに寄生することで、卵から栄養を吸ったり、外敵から身を守ったりしていると考えられます。

プランクトンを調べれば、社会の役に立つ

 プランクトンの生態の研究は、それ自体が非常に興味深いだけでなく、さまざまなことに役立ちます。例えば、有害な赤潮の発生原因を突き止めることにもつながります。赤潮は植物プランクトンが大量に増えたり集まったりしている状態なので、植物プランクトンや、それを食べる動物プランクトンの生態がわかれば、赤潮の原因究明につながるわけです。
 また、ロボット工学の分野でも、プランクトンは注目されています。例えば、小さなプランクトンがどのように泳いでいるかを調べれば、その仕組みを応用して、水の中や人の血管の中で作業ができるロボットをつくれるかもしれないからです。

参考資料
1:オオバウチワエビ
2:卵塊に擬態して寄生するChoniomyzon inflatus

夢ナビライブ2019 東京会場

アイコン

講義を視聴する(1分)

アイコン

講義を視聴する(1分 その2)

アイコン

講義を視聴する(1分 その3)

アイコン

講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 生物海洋学、浮遊生物学

東京海洋大学
海洋資源環境学部 海洋環境科学科 教授
田中 祐志 先生

先生の著書
メッセージ

 私は、好きなことをしつこくやり続けました。うまくいかなくても何度もやり直したり、いろいろな方法を試したりしました。行き当たりばったりなところもあったかもしれませんが、その結果、今の自分があると思っています。
 ですからあなたも、興味を持ってやりたいと思ったことは、全力で取り組んでみてください。それがすぐに役立つかどうかはあまり考えなくても大丈夫です。何が役に立つかは、意外とわからないものです。それに、一生懸命やっていれば、きっと運はついてきます。

先生の学問へのきっかけ

 私は大阪府堺市の出身で、海のそばで育ちました。地元の海が茶色く濁っていることに疑問を持ち、それを中学の理科の先生に尋ねたところ、水が茶色なのはプランクトンがたくさん増えて赤潮になっているからだと教えられました。実は私が子どもの頃の1970年代というのは、日本のあちこちで赤潮が大きな問題となっていた時期だったのです。海のことが勉強したいと思い、大学の農学部に進学した私が選んだ研究対象は、プランクトンでした。やると決めたらとことん突きつめなければ気のすまない性格で、以来プランクトンの研究ひとすじです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

水族館学芸員/科学技術館運営員/都道府県の水産試験場の研究職/水産庁行政職/水産高校教員/環境コンサルタント会社研究員/海洋調査会社専門職

大学アイコン
田中 祐志 先生がいらっしゃる
東京海洋大学に関心を持ったら

 東京海洋大学は、全国で唯一の海洋にかかわる専門大学です。2大学の統合により新しい学問領域を広げ、海を中心とした最先端の研究を行っています。海洋の活用・保全に係る科学技術の向上に資するため、海洋を巡る理学的・工学的・農学的・社会科学的・人文科学的諸科学を教授するとともに、これらに係わる諸技術の開発に必要な基礎的・応用的教育研究を行うことを理念に掲げています。

TOPへもどる