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講義No.09489

過酷な環境にも負けない! 日本の食文化に根づく植物性乳酸菌

過酷な環境で生きる植物性乳酸菌

 乳酸菌は、動物質の中で生きる動物性乳酸菌と、植物質の中で生きる植物性乳酸菌に大きく分けることができます。整腸作用と免疫調節作用という乳酸菌の性質は共通していますが、育ってきた環境は異なります。
 動物性乳酸菌は栄養分が豊富な恵まれた環境にいますが、植物性乳酸菌は栄養分がアンバランスで、なおかつ植物質に含まれる刺激の強い成分の中で育ちます。過酷な環境で生き残るために細胞壁が強固になった植物性乳酸菌は、例えば人の口から入ると、動物性乳酸菌よりも高確率で腸に到達します。一方、動物性乳酸菌はほとんどが胃酸で死滅してしまいます。

植物性乳酸菌で発酵させた漬物がある?

 日本には日本酒や漬物など植物を原料とした発酵食品がたくさんあり、中には植物性乳酸菌を利用して発酵させた食品もあります。例えば「すんき」という長野県木曽(きそ)地域の伝統的な赤カブの漬物は、塩を使わず乳酸菌を利用して発酵させています。すんきは木曽の赤カブでしか作ることができません。別の野菜では独特の風味が生まれません。その理由は、木曽の赤カブに多く含まれているリンゴ酸という成分にあります。リンゴ酸は乳酸菌で発酵させることでコハク酸という貝にも含まれるうまみ成分に変わり、おいしさが生まれます。

伝統的に受け継がれてきた植物性乳酸菌

 発酵食品の作り方には植物性乳酸菌を生き残らせるための工夫が隠れています。すんきは11月頃に収穫した赤カブに、前の年に作ったすんきを加えて漬け込むことで作られます。年内には生産が終わるので、次の漬け込みの時期まですんきを腐らせずに乳酸菌の含まれた「種(たね)」を保存する必要があります。冷蔵庫がなかった時代には、すんきを乾燥させて保管したり、ビンに入れたすんきの漬け汁を土に埋めて温度の上昇を防いだりしていました。こうした工夫によって、360年以上にわたってすんきの中の乳酸菌を受け継いできました。すんきの乳酸菌を分析すると、4種類の乳酸菌が絶妙なバランスを保っていることがわかります。

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講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 乳酸菌学、微生物学、生物学

高崎健康福祉大学
農学部 生物生産学科 教授
岡田 早苗 先生

メッセージ

 まず、自分がやりたいものを持って進路のベクトルを定めるということが大切です。あなたが「これは好きだなあ」と思ったことはどんどん追究して、その分野のオタクになるくらい勉強してみましょう。教科書の勉強と違って、好きなものの勉強は興味を持って取り組めます。誰かに何かを言われても臆せずに「好き」という気持ちを持ち続けてください。
 大学では好きな分野を引き続き勉強するのはもちろん、興味の範囲を広げていくことも大切です。違う分野を融合させることで、新しいものが生まれる可能性があるからです。

先生の学問へのきっかけ

 私が微生物に興味を抱いたきっかけは、幼少期に病院で聞いた「抗生物質」という言葉でした。母に意味を尋ねると「微生物で微生物を倒すものだよ」と説明してくれました。面白そうだと思って調べていると、寒天の上に形成された抗生物質によるきれいな阻止円の写真が目に入り「これを自力で再現したい」と思いました。大学では乳酸菌も研究しました。乳酸菌は弱いため培養が困難でしたが、抗生物質を利用して乳酸菌のみを育てられる環境が完成しました。抗生物質と乳酸菌が融合したことが面白く、現在まで乳酸菌発酵食品の研究をしています。

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