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講義No.09488

存在しないなら与えよう! 遺伝子組換えで広がる植物の可能性

青いバラを生み出した遺伝子組換え技術

 青いバラは、遺伝子組換え技術がなければ作ることができなかったもののひとつです。西洋では長年、赤い色素が薄いオスの花粉をメスに受粉させて青いバラを作ろうという品種改良を試していましたが、いくら続けても青い色にはなりませんでした。そこで、細胞核の中にある遺伝子の配列を調べると、バラの中には青い色素を作る遺伝子がないことがわかりました。「自力で作ることができないのなら、青い色素を持つ遺伝子を足してみよう」と遺伝子を組み換えてみると、交配による品種改良をしていた時間に比べ、ごく短い期間でサントリーの研究者は青いバラを作ることに成功しました。

バイオプラスチックを効率よく作るには?

 環境に優しいといわれているバイオプラスチックにも、遺伝子組換え技術が応用されています。土の中にいる細菌が特定の環境下で蓄えた栄養を人為的に植物に与えると、バイオプラスチックの原料となる成分が植物内で生産されます。しかしこの方法では、細菌を育てるための大きなプラントや大量のエサが必要になり、手間や費用がかかります。そこで、植物の葉緑体に遺伝子を組み込み、原料となる成分を自力で作ることができる植物が生まれれば、畑に植えておくだけで効率よくこの成分を生産することが可能になります。

葉緑体の遺伝子組換えは難しい

 植物の遺伝子組換えに用いる道具に、「パーティクルガン(遺伝子銃)」があります。これを使うと、植物の細胞に、組み換えに使用する遺伝子を持った菌粒子を撃ち込むことができます。しかし、葉緑体はとても小さいため、葉緑体の遺伝子組換えをするには、偶然、葉緑体に当たるまで撃ち込み続けなければなりません。そこでペプチドという、アミノ酸の羅列によって作られる分子を利用して、葉に新たな遺伝子を与える方法が考案され、葉緑体の遺伝子のみを組み換えることに成功しました。この技術によって、今後、多くの植物で遺伝子組換えがしやすくなる可能性があります。

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この学問が向いているかも 農芸化学、生物工学、合成生物学

高崎健康福祉大学
農学部 生物生産学科 教授
吉積 毅 先生

メッセージ

 どんなことでもいいので、興味を抱いたらそれを追究することで「こんなことを実現できるのではないか」という仮説を立ててみましょう。周りから批判されたとしても、そのまま受け入れるのではなく、自分の頭で考えてみることが大切です。さらに「どうしたらできるようになるのか」という方法も考えてみると、興味がより深まります。
 一見、関係なさそうなことでも、将来的にあなたが選んだ分野の役に立つということもあります。調べているうちに、もっと先の景色を見たいと思ったら、大学でさらに研究してみましょう。

先生の学問へのきっかけ

 私は高校生の頃、生物の授業に面白さを感じていました。1980~1990年代にバイオテクノロジーブームが起こると、その言葉の響きのかっこよさから、遺伝子学に興味を持ちました。大学では、トウモロコシの遺伝子組換えに関する研究で、磁石の力を応用するという、異分野の知識も柔軟に取り入れた方法を試すなどしました。しかし「基礎となる植物遺伝学も学びたい」と感じて、その後、植物を使った基礎研究に尽力しました。現在は遺伝子組換えの研究に戻り、遺伝子組換え技術をより確実なものにするために研究を進めています。

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吉積 毅 先生がいらっしゃる
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