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講義No.09471

コンピュータの計算は、実はいいかげん!?

コンピュータも間違える

 数学で面倒な計算があると、ついつい電卓やコンピュータを使いたくなります。でも実は、それらは結構いいかげんな計算をしているのです。むしろ毎回間違った計算をしていると言っても過言ではありません。

計算の誤差からロケット事故に

 例えば1÷3という計算を考えてみましょう。私たちは分数を知っているので、1÷3=1/3と表すことができますし、1/3に3をかければ1に戻ります。この分数を小数で表そうとすると、1÷3=0.3333……という循環小数になります。ところが、コンピュータでは無限を取り扱うことができないので、どこかの桁で打ち切らなければなりません。例えば小数点以下4桁で打ち切ると決めたとき、1÷3≒0.3333です。この答えに3を掛けても0.9999にしかなりません。ちょっとだけズレ(誤差)が起きてしまうのです。1回の計算なら小さなズレで済みますが、複雑なシミュレーションなどで数億回といった計算を重ねると、誤差がたくさん積み重なってしまい、最終的に出た結果がどれくらい正しいかわからないのです。こういったコンピュータ計算の失敗により、過去にはロケット発射事故につながった事例もあります。

コンピュータの計算にお墨付きを

 コンピュータの計算を信頼できるようにするためには、答えが合っているという保証をつける必要があります。これには2つ方法があり、1つは、計算に用いる値を2個の数で挟み込んで範囲を決める方法です。先ほどの1/3だったら「0.3333と0.3334の間」といえば必ず正解を含むようになります。しかし、これは何回も計算を重ねると範囲が広がりすぎて役に立たなくなります。もう1つは、答えがある程度正しいとした上で、検算(試し算)をして保証する方法です。これらを組み合わせたものが「精度保証付き数値計算法」です。コンピュータ・シミュレーションにより得られた答えを正しく把握したいときに使われ始めています。この計算法の研究が発展すれば、天気予報もより正確になるかもしれません。

夢ナビライブ2019 東京会場

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四色問題(四色定理)の解決

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コンピュータ=証明の正しさを損ねる?

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思い込みによる「常識」

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この学問が向いているかも 計算科学、数値解析学

東京女子大学
現代教養学部 数理科学科 情報理学専攻 教授
荻田 武史 先生

先生の著書
メッセージ

 パソコンやスマートフォンは、今では1秒間に数億回も計算ができるくらい処理速度が速くなってきています。ところで、ゲームやAI(人工知能)、天気予報などのコンピュータ・シミュレーションを含めて、あらゆるところで使われているコンピュータの計算がどれくらい正しいのか考えたことはありますか?
 「コンピュータなら完璧で正確だ」というイメージがあるかもしれませんが、実はそうではないのです。「精度保証付き数値計算」はそのような問いに答えるための研究分野です。

先生の学問へのきっかけ

 あなたは数学の問題で計算が面倒だと思ったことはありませんか? 私も高校時代は、数学は好きだけれど計算は誰か代わりにやってくれないかと考えていました。その後、大学での研究で、数学の問題をコンピュータに解かせてみたのです。自分では解くのが面倒な問題もコンピュータは嫌がらずに計算してくれるので便利でしたが、計算結果がどれくらい正しいのか判断できないこともわかりました。合っているか間違っているか、誰でも判断できるものが作りたいと考えたのが、精度保証付き数値計算を研究し始めたきっかけです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

IT系開発/金融系総合職/高校教員/出版社ソフトウェア開発

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荻田 武史 先生がいらっしゃる
東京女子大学に関心を持ったら

 東京女子大学現代教養学部は、全学的に国際性、女性の視点、実践的学びを重視した教育を展開しています。100周年を迎えた2018年に「国際英語学科」「心理・コミュニケーション学科」を新設。また、国際社会学科に新たに「コミュニティ構想専攻」を設置しました。キリスト教精神に基づくリベラル・アーツ教育で自ら考え、知識や能力を行動へとつなげ、社会に出てからも学び続け、さまざまな問題を解決する力を身につけたリーディングウーマンを育成します。

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