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講義No.09468

芝居小屋はタイムマシン! 歌舞伎から見える江戸時代の日本人像

芝居小屋は江戸時代へのタイムマシン

 芝居小屋はタイムマシンのようなもので、歌舞伎を見ると江戸時代の人々の様子がわかります。テレビも映画もなかった当時、エンターテインメントのひとつが芝居でした。歌舞伎から生まれた「二枚目」や「三枚目」などの言葉が現代でも定着しているように、江戸時代から歌舞伎は人気が高かったのです。歌舞伎を研究していると、人を楽しませるためにはどのようにしたらいいのか、そのさまざまな方法論に気がつくことができます。

江戸時代から日本人は変わっていない?

 スーパー歌舞伎II(セカンド)で『ワンピース』が上演されましたが、江戸時代にも『南総里見八犬伝』のような人気作品を歌舞伎化したものがありました。2次元で楽しんでいたものが実体を持って現れることに対する衝撃は、現代も江戸時代も共通しています。歌舞伎の役者を描いた浮世絵をアイドルのブロマイドのように買う人が多かったことからも、江戸時代から日本人の本質はあまり変わっていないと考えることができます。

原作からわかる歌舞伎の変遷

 古典芸能は一言一句昔のまま演じられているわけではなく、歴史とともに変化しています。古い歌舞伎の台本に、貼り紙をして修正を加えている箇所があり、上演の変遷を見ることができます。
 例えば、現代でも人気のある『助六』という作品があります。本来3時間かかる作品ですが、現代の上演時間に合わせて2時間ほどにしています。しかし元の台本を読むと、カットしている場面にこそ、登場人物についての理解が深まるやりとりがあったことがわかります。例えば、追っ手から逃げている主人公の助六を恋人の揚巻(あげまき)がかばうシーンがあります。ナンバーワン遊女である揚巻が追っ手に対して、「もし私に傷が付いたらこの吉原(よしわら)中が暗闇になるぞ」と啖呵(たんか)を切るという見せ場なのですが、現在では概ねカットされてしまいます。観劇から一歩先に進んで台本を分析すると、歌舞伎の世界をより深く知ることができるのです。

参考資料
1:歌舞伎の台本

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この学問が向いているかも 日本文学、演劇学

東京女子大学
現代教養学部 人文学科 日本文学専攻 准教授
光延 真哉 先生

先生の著書
メッセージ

 あなたが、もし歌舞伎に興味があるなら、大学では単に作品を鑑賞するだけでなく、台本をはじめとした歴史的資料を介して分析する方法を学ぶことができます。古い文献だと崩し字が出てきて難しいと思うかもしれませんが、ちょっと勉強すれば読み方のコツを身につけられます。
 江戸時代の文学研究が対象とするのは、文学史に出てくるようないわゆる古典作品だけにとどまらず、タウンガイドやファッション誌、化粧の指南書など、現在も書店に並ぶような多様な出版物も含まれます。自分の関心のあるものを楽しみながら読むと力がつきます。

先生の学問へのきっかけ

 私は日本文化を勉強するために入学した大学で、何を研究材料とするか決められずにいました。そんなとき、高校時代に恩師から「坂東玉三郎の歌舞伎は一度でいいから生で見ておきなさい」と言われたことを思い出しました。そこで彼の舞台を見に行ったところ、今まで知らなかった世界が目の前に存在することに衝撃を受けました。日本人のルーツであるはずなのに新しいもののように感じることができたのです。そうした世界をもっと知りたいと思い、それ以来、江戸時代の歌舞伎を、台本の分析を中心に研究しています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

銀行営業職//印刷会社事務職/地方公務員/高等学校国語科教員

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光延 真哉 先生がいらっしゃる
東京女子大学に関心を持ったら

 東京女子大学現代教養学部は、全学的に国際性、女性の視点、実践的学びを重視した教育を展開しています。100周年を迎えた2018年に「国際英語学科」「心理・コミュニケーション学科」を新設。また、国際社会学科に新たに「コミュニティ構想専攻」を設置しました。キリスト教精神に基づくリベラル・アーツ教育で自ら考え、知識や能力を行動へとつなげ、社会に出てからも学び続け、さまざまな問題を解決する力を身につけたリーディングウーマンを育成します。

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