夢ナビ夢ナビは、さまざまな言葉をデータベースから検索・閲覧し、将来の進路を決める“きっかけ”を提供します。

講義No.09448

100年経って日本語の発音は変わったか

日本語音声の最古のデータ

 録音機が広まり始めた1900年のパリ万博で、世界中から集まってきた人々の会話を録音したデータがあります。その中に、日本人の男女による会話などの録音がありました。これは現在確認できる限り、最古の日本語音声データです。これを聴いてみると、21世紀の日本人が聞いても、会話の内容を簡単に理解できます。つまり、19世紀末から21世紀にかけて、日本語の発音や語法には大きな変化がなかったことがわかります。

「15」はどう発音する?

 ただし細部を見ていくと、発音にもいろいろな変化が観察されます。例えば、ガ行の発音に注目すると、100年前の録音でも聞き取れる東京方言の特徴、語頭では破裂音、語中では鼻にかかった鼻音、いわゆるガ行鼻濁音で発音するという区別は、現在、消滅する傾向にあります。しかし、一方では、若いアナウンサーなどに、「15」の「ご」を、わざわざ鼻濁音で発音している場面が見られます。「15」は「10」と「5」が組み合わさってできた語なので、「5」は破裂音でよいのですが、「語」中のガ行はすべて鼻濁音で発音すると覚えてしまった結果、鼻濁音を過剰に用いているからだと考えられるのです。

江戸っ子は常に「ひ」を「シ」と発音するのか?

 昔はこうだったというステレオタイプによる誤解を、もう一例挙げましょう。現在の落語家が「江戸っ子っぽい」というイメージで「一つ」を「シトツ」と発音することがあります。確かに江戸・東京では、「ひ」を「シ」と発音することはありましたが、常に、そうなるわけではありません。先に挙げた1900年パリ録音や古い落語レコードを聴くと、むしろ、多くの場合、「ひ」は「ヒ」と発音されています。女性や改まった席での男性は、「ひ」と「し」の発音は、きちんと区別されていました。

夢ナビライブ2019 東京会場

アイコン

言語の移ろい

アイコン

若者特有?「ら抜き言葉」

アイコン

敬語の歴史

アイコン

講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 日本語学

日本女子大学
文学部 日本文学科 教授
清水 康行 先生

メッセージ

 ある視点を持って対象を観察すると何が見えてくるのか、常に意識することが学問の出発点となります。また、物事を考えるためのさまざまな手段を身につけることも大切です。その分野に特有のものの見方や世界の切り分け方を身につけたときに、それまで見えなかったものが浮かび上がってくるはずです。
 「日本語学」の場合は、歴史の中で変化していった言葉や、言葉の変化の背景を観察します。研究を通して、これからの日本語が進んでいく方向を見つけることができるかもしれません。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃から言葉に関心があり、中学生の頃は常に国語辞典を持ち歩いていました。その一方で言語に苦手意識があり、発言するたびに「心が感じていることをうまく言葉で表せない」と感じていました。特に高校時代に言葉と心のズレを強く意識し、大学で言語を勉強することを決め、まずは母語の日本語をきちんと学ぶべきと考え、日本語学を選びました。
 「どうしたら心の中の考えをうまく表わす言葉が見つかるのか」という疑問への答えはまだ見つかっていませんが、興味深い日本語の事例がたくさんあるため日本語学を研究し続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

放送局ディレクター/アナウンサー/新聞記者/雑誌編集者/国語科教師

大学アイコン
清水 康行 先生がいらっしゃる
日本女子大学に関心を持ったら

 日本女子大学は、「日本で最初の日本を代表する女子大学」という意を込められて名付けられました。創立は1901(明治34)年、110余年の歴史をもつ伝統ある女子総合大学です。創立以来「自らの人格を高め、使命を見いだして前進する」という理念のもと、社会で力を発揮できる思考力・実践力を育てることに力を注いできました。女性の生き方の選択肢がますます多様化する今の時代、可能性は無限に広がっています。日本女子大学は、自分の個性や資質を再発見し、あなたらしく輝くための生き方を存分に追求できる大学です。

TOPへもどる