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講義No.09408

運動が薬の代わりになる日がくる? 治療の幅を広げる理学療法

あの野球選手の怪我は手術がいらなかった?

 再生医療などの医療技術の発展により、怪我に対して手術を適用しない治療法が注目を集めていますが、理学療法では運動という視点から治療に貢献することができます。
 例えばメジャーリーガーの大谷翔平選手と田中将大選手が経験した肘(ひじ)の靭帯(じんたい)損傷という怪我があります。大谷選手が手術をした一方で、田中選手は手術をしない保存療法を選択しました。田中選手が選択した治療法は自身の血液から損傷した組織を治癒する成分をとりだして肘に打ち込む治療法だったといわれています。これと同様の効果を、適切な運動により導くことができる可能性があることがわかってきています。この技術の発展により未来の医療が変わっていく可能性があります。

理学療法が広げる治療の選択肢

 スポーツ選手に多い、膝(ひざ)の前十字(ぜんじゅうじ)靭帯損傷という怪我があります。手術をしないと治らないと考えられてきましたが、理学療法の研究結果から手術以外の治療の可能性が見えてきました。実験で前十字靭帯を損傷させた動物に、関節の異常な運動をサポートする介入を行い飼育したところ、今まではつながらなかった靭帯がまたつながったのです。
 損傷の位置や程度による治癒の可能性といった研究データが現在はまだ不足しているため、現状では保存療法を実践している病院はほとんどありません。しかし保存療法の適用基準を定めるための基礎研究、靭帯が治るプロセスを科学的に解明する研究、そして研究結果をもとにした装具の開発などが進められることで、近い将来、患者さんに手術以外の選択肢を提示できるようになるでしょう。

運動が薬になる未来をつくる

 理学療法士が患者さんに適切なタイミングで適切な運動を指導することで、治癒反応の促進が期待できます。理学療法には、リハビリという側面だけではなく、医学的な治療にも貢献できる可能性があります。さらに、これまでは治らないと考えられていた怪我を「実は治せる」ということを解明していくのも理学療法学の魅力です。

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この学問が向いているかも 理学療法学

埼玉県立大学
保健医療福祉学部 理学療法学科 准教授
国分 貴徳 先生

メッセージ

 理学療法士の活躍の場は、病院内だけでなく介護・福祉、スポーツなどの分野にも広がっています。スポーツに興味がある、高齢者に興味がある、ヒトの動きを見ることに興味がある、ヒトを援助するロボットに興味があるなど、あなたのさまざまな興味がこの学問につながっていきます。
 理学療法学は幅広い領域と連携する中で専門知識を生かせる学問です。理学療法を勉強した先には、さまざまな分野でヒトの生活に直接的・間接的に貢献できる未来が広がっています。理学療法を一緒に勉強して、そんな未来を実感していきましょう。

先生の学問へのきっかけ

 高校時代に体育の授業で大腿骨を骨折したのですが、治療後のリハビリを自力で考え、実践しました。当時受診した病院には理学療法士がおらず、リハビリを受けることができなかったためです。結果的にまた運動ができるようになりましたが、復帰するまでに半年以上もかかってしまい、もっと効率的で効果的なリハビリ方法があるのではないかと疑問を持ちました。将来はスポーツに携わりたいと、当初は漠然とスポーツトレーナーをイメージしていましたが、運動と怪我にかかわりの深い理学療法という分野があることを知り、大学で学びました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

病院・理学療法士/介護保険施設・理学療法士/研究所・研究員/スポーツ施設・理学療法士/出版社・医学系雑誌編集/公務員・保健福祉課/自営・パーソナルトレーナー/プロスポーツチーム・理学療法士

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国分 貴徳 先生がいらっしゃる
埼玉県立大学に関心を持ったら

 埼玉県立大学は、保健・医療・福祉の「連携と統合」を目指し、学科を超えた地域活動・研究活動を行っています。多くの優秀な若者たち、明日の社会づくりの希望を持った若い力がいつかそれぞれの地域や職場で、あるいは世界のどこかで、高い志と豊かな感性、深い知識や技術を持って貢献できる可能性を秘めた人材として育っていけるよう全力で応援します。

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