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講義No.09135

光で充電できるリチウムイオン電池が、新しい未来をつくる!

薄膜で反応を可視化する

 携帯電話やノートパソコンなどのバッテリーに使用されているリチウムイオン電池は、化学反応を利用しています。正極と負極の間でリチウムイオンが行き来することで充電と放電を行いますが、こうした反応を可視化できる薄膜(はくまく)のリチウムイオン電池が開発されました。厚さ1マイクロメートル(1000分の1ミリメートル)以下のものを薄膜と呼びますが、ここで使うのは100ナノメートル、髪の毛の1000分の1という極薄の膜です。向こう側が透けて見えるほど薄く、リチウムイオン電池の中でどんな反応が起きているのか、見ることが可能です。

バッテリーを光で充電?

 携帯電話はバッテリーが少なくなると電源につないで充電します。リチウムイオン電池を充電するためには電流を流すことが必要だからです。一方、太陽電池は太陽光を電力に変えて発電することができます。この太陽電池の特徴を融合させることで、光さえあれば充電できるリチウムイオン電池ができるのではないかと、その可能性に注目が集まっています。
 ここで必要となるのが、向こう側が透けて見え、光を透過できる薄膜です。実用化にはまだ問題点もありますが、そこに置いておくだけで勝手に充電される、電源を必要としない携帯電話が登場する日も夢ではありません。またこれが可能となれば、窓ガラスに薄膜リチウムイオン電池を取り付けてセンサーにつなぎ、侵入防止装置の電源にするといった使い方もできます。高齢化が進むこれからの社会においての活用が期待されています。

課題は電池の寿命!

 携帯電話のバッテリーのもちが次第に悪くなっていくことからもわかるように、高性能なリチウムイオン電池でも寿命は3~4年と短いことが課題です。材料に電解液が入っているからですが、電解液を固体にすることができれば、寿命が延びることが期待できます。薄膜のリチウムイオン電池は生活のいろいろな場面で活用できるでしょう。

参考資料
1:透明なリチウムイオン電池
2:薄膜

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この学問が向いているかも 応用物理学、応用化学、先進工学

工学院大学
先進工学部 応用物理学科 准教授
永井 裕己 先生

先生の著書
メッセージ

 私は光を当てるだけで充電できる透明なリチウムイオン電池を開発しています。また工学院大学の先進工学部では、化学や物理、生物といった学問領域を超えて、それらが融合した新しい学問をつくり、イノベーションを起こしています。
 今、あなたが高校で学んでいる化学や物理、生物の知識は、これからいろいろな分野とつながっていく学びのための大切な土台となります。その知識を基にたくさんチャレンジしながら、新しい未来の世界をつくっていきましょう。

先生の学問へのきっかけ

 インドを訪れたとき、電気が通っていないため、夜でも真っ暗な中で生活する子どもが大勢いる現実を目の当たりにしました。それが太陽電池に興味を持つきっかけになりました。金属酸化物による薄膜(はくまく)太陽電池をつくる研究を行いながら、リチウムイオン電池を透明にする研究にも取り組んでいきました。研究は、原理がはっきりと説明できないところが、難しいけれど面白いところです。太陽の光だけで発電できるシステムがあれば、不便な生活を強いられている途上国にも、明るい夜をもたらすことができる、と研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

電子デバイス研究者/電気機器メーカー研究者

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永井 裕己 先生がいらっしゃる
工学院大学に関心を持ったら

 工学院大学は、2017年に創立130周年を迎えた、伝統のある大学です。2019年4月から、専門性を高めた知識を得られるように、先進工学部の「応用物理学科」と「機械理工学科」では各学科を2専攻に分け、きめ細かな学修ができる体制に変わりました。
 応用物理学科には応用物理の分野を究める「応用物理学専攻」と宇宙関連分野を学ぶ「宇宙理工学専攻」を、また機械理工学科には従来の機械の知識を学びながらグローバルな視点を養う「機械理工学専攻」とパイロットライセンスの取得をめざす「航空理工学専攻」を設置します。

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