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講義No.09002

温泉の成分がマグマの活動を解き明かす!? 火山化学の重要な使命

日本でも珍しい学問、「火山化学」とは

 火山のモニタリングといえば、地震計などの観測機器を遠隔でモニターしているイメージがあるかもしれません。こうした物理的な観測に、化学の見地に立った観測が加わって初めて、火山の全体像をとらえることができます。病気の検査に例えれば、物理学的火山観測はレントゲン写真を用いた診断、一方、化学的火山観測は血液検査のようなものです。化学的火山観測では、火山ガスや温泉、噴石などをサンプリングして分析します。物理と化学、同じ現象を対象としていても、視点が異なり、どちらが欠けても火山に対する診断は下せません。

見えない地下の出来事を温泉水に聞く

 実際の調査では、平常時で1年に1~2度、活動期であれば1カ月に1~2度くらいの頻度で、マグマ由来のガスが混じっている火口湖の水や温泉水を採取し、組成の変化を分析します。化学成分の濃度は雨水が入ると薄まってしまうので、基本的には成分間の比率を調べます。
 例えば、地表では沸点があるために100℃以上にはならない温泉水も、地下ではずっと温度が高く、火山活動が活発化した影響を受けると、ケイ素やそのほかの不特定の化学成分の濃度や割合が高くなることがあります。その化学組成の変化を見ることで、元となるマグマの温度の変化が推測できます。

いざという時のための積み重ね

 ただし水の地下での流動は遅いですから、例えば温泉水だと1年や2年という時間をかけてゆっくりと変化します。したがって温泉水だけを分析していても、それが噴火予知に繋がるとは限りません。しかし、火山が活発になった時に火山の下で一体何が起きていたのかを知るための重要なデータとなります。
 このようなデータは噴火しない限りは注目を浴びず、平常時の観測には意味がないと思われがちですが、噴火してから観測を始めても、比較対象となる平常時のデータがなければ、何が起こったのかはわからないままです。自然や災害を研究する際には、長いスパンで物事を考え、分析し、地道に記録を積み重ねておくことが大切なのです。

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火山研究の対象は?

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火山の監視と観測方法

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講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 火山化学、環境分析化学、地球化学

上智大学
理工学部 物質生命理工学科 教授
木川田 喜一 先生

メッセージ

 子どもの頃、不思議な昆虫の姿や生態を見たり、色とりどりでさまざまな形の石ころが転がっているのを見たりしてワクワクしませんでしたか。理学の素養を養うのは、こういう「不思議だな、もっと知りたいな」という気持ちです。
 よく考えてみると、普段当たり前だと思っていても、実は全く知らないということはたくさんあります。いまだに地震も火山噴火も予知できないように、サイエンスの世界でも実はわからないことだらけなのです。自然の不思議さについて考え、興味を追究する気持ちを今一度呼び起こしてみてください。

先生の学問へのきっかけ

 私は、子どもの頃から、いろいろな自然現象の不思議にワクワクしていました。そして理工学部の学生だった頃、伊豆大島が噴火しました。当時ちょうど「地球化学」の講義の担当教授がテレビで噴火の詳しい状況を解説する姿を見ました。その教授は事前に噴火するタイミングを正確に予測しており、「そろそろ噴火すると思うから、来週は休講になるかも」と予言していたのです。「これは面白い!絶対この世界にいきたい」と思い、教授と二人三脚で火山を研究されていたその教授の奥様がいる研究室に入り、今に至ります。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

中学・高校教員/地方公務員 一般職/非鉄金属 環境事業/分析評価機関 研究員/科学機器 マーケティング/電機通信 開発

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木川田 喜一 先生がいらっしゃる
上智大学に関心を持ったら

 上智大学は日本初のカトリック大学として開学し、2013年に創立100周年を迎えました。創立当初から国際性豊かな大学として、外国語教育に重点を置いてきました。留学制度も充実しており、世界35ヶ国に140校にも及ぶ交換留学協定校をもち、毎年約200人の学生が世界各国へ交換留学しています。また、少人数教育も本学の伝統のひとつです。教員と学生の距離が近く、また学生同士が率直に意見を交し合う、きわめて理想的な教育環境が整っています。他者を思いやり、社会に奉仕できる人材を育成します。

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