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講義No.08604

痛み止め効果が期待される食品成分「レスベラトロール」とは?

慢性的な痛みに「食品成分」を活用しよう

 痛みというのは頭痛や腰痛、けがなど身近にもあるものです。日本では、人口の約20%の人が慢性的な痛みを抱えて困っているというデータがあります。痛みを抑える場合、痛み止めの薬を飲むのが一般的ですが、薬には必ず副作用があり、摂取しすぎると体によくありません。そこで、食品中に含まれる成分で痛みを抑える研究が進められています。食品は体が積極的に取り入れて利用するものですから、基本的に食品内の成分であれば、副作用は起こりにくいという利点もあります。

どんな食品をどれくらい摂ればいい?

 例えば、ワインやブドウの種に含まれるポリフェノールの一種「レスベラトロール」は、痛みを感じる神経細胞のはたらきを抑えるはたらきがあると言われています。マウス実験により、生体内でも歯科医で使う局所麻酔と同等の麻酔効果が得られることがわかりました。副作用がないことも確認されています。
 では「ワインを何杯飲めば痛みが抑えられるのか」というと、大量のワインが必要ですが、実際に大量のワインを飲む必要はありません。「レスベラトロール」は化学的に合成することができるので、必要な濃度をサプリメントのような形で摂取すればいいのです。炎症を起こす実験の際に、あらかじめレスベラトロールを投与していた個体には炎症が起きにくいという結果も出ており、体の中にあるとよい影響があることは確かなので、「毎日ある一定量摂取するとどうなるか」という研究も進められています。

レスベラトロールは万能薬?

 レスベラトロールに関しては、長寿効果があることや、がん、心臓病、骨粗しょう症などにも効果が認められるという論文が出されています。もしかしたら痛みの神経細胞以外にも、全身の細胞によい効果があるのかもしれません。レスベラトロール以外にもDHAやルテインといった身近な食品に含まれる成分も痛み緩和に効果があることがわかっています。

夢ナビライブ2018 東京会場

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痛みによるストレス

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副作用のない治療法の研究

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レスベラトロール投与による効果

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講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 食品生命科学

麻布大学
生命・環境科学部 食品生命科学科 准教授
島津 德人 先生

メッセージ

 「医食同源」「薬食同源」という考え方から、食品に含まれるさまざまな成分によって、痛みを抑える仕組みについて研究しています。食べ物というと栄養機能や食感機能としての「おいしさ」がすぐ思い浮かびますが、生体調節のはたらきも備わっています。
 研究にしても、遊びにしても、とことんのめり込める人は志望する職業に就ける、というのが、学生と接しての実感です。私のテーマに興味があればぜひ一緒に研究していきましょう。

先生の学問へのきっかけ

 大学時代は獣医学部で動物の歯を研究していました。歯や骨は水晶と同じくらいの硬さで、人工的に作ろうとすると100度以上の熱とかなりの圧力が必要なのに、体の中では簡単に細胞で作られることに興味を持ちました。
 その後、歯学部の研究室で研究を続け、歯や口腔の研究をするうちに「口は命の入口、心の出口」と言われる通りだと実感しました。口は食べることで命の源を取り入れ、話すことで心の中で思ったことを出す、人が生きる上で大切なものなのです。
 口の中のがんの早期発見の研究を経て、口の中の痛みの研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

食品会社製造/化粧品会社研究員/大学院進学

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島津 德人 先生がいらっしゃる
麻布大学に関心を持ったら

 はじまりは1890年に開設した東京獣医講習所でした。
 まだ栄養状態が豊かでなかったこの国の、人の生活を豊かにするため、畜産の発展に寄与するため獣医師の養成をはじめました。それから約130年の時を経て、人の社会と動物のかかわりは深くなり、複雑になり、生きものすべてが新しいバランスで循環する「いのちのあしたのあり方」が求められています。
 これが私たちの目指す「地球共生系」です。
 最先端の研究と確かな実践力で、「人と動物と環境」に向き合い、地球のあしたをつくる。これが私たち麻布大学です。

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