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講義No.08593

私たちの未来を支える、「自然に学ぶものづくり」

「インセクト・テクノロジー」とは?

 地球上にいる生き物はさまざまな優れた機能を持っています。では、それらがいろいろなものづくりに応用されていることを知っていますか? 例えば、六角形が並んだハチの巣の構造は「ハニカム構造」と呼ばれ、少ない材料で軽くて丈夫なものをつくるのに適した形であるため、新幹線のドアやロケットのボディなどに使われています。このように昆虫をはじめとする生き物の機能を研究して、ものづくりに応用する技術を「インセクト・テクノロジー」と言います。インセクトとはムシのような小さな生き物のことです。

蚊のおかげで痛くない注射針ができた!

 蚊は人に気づかれることなく針を刺すことができます。実はこれも蚊の針の構造に秘密があります。蚊の針は細く、先端部分が凹凸構造になっているため、痛点に当たりにくくなっているのです。この構造を利用して、刺しても痛くない注射針が開発されています。
 ほかにも、タマムシの表皮やクジャクの羽の構造を利用して、ステンレスやチタンなどを発色させる技術もすでに開発されています。この技術は、もの自体が発色しているため、構造が変化しない限り変色せず、錆びることもありません。そこが着色との大きな違いです。

エコの面でも注目

 インセクト・テクノロジーは、環境にやさしい技術としても注目されています。クジャクの羽をまねた発色は、着色剤を使用していないので、環境にもやさしく色を出すことができます。また、カタツムリの殻は、雨水で汚れが落ちる構造になっていて、これを台所や洗面台、トイレなどに利用すれば、洗剤を使わずに水だけで掃除ができるようになります。
 一方、生き物の作る素材をそのまま生かす研究も進んでいます。例えば、カイコの吐くシルクは、紫外線カット、抗菌性、吸脂性などのさまざまな利点があり、繊維以外に化粧品や薬としても利用できることが明らかになりました。まさにインセクト・テクノロジーは、私たちの未来を支える「自然に学ぶものづくり」の技術なのです。

夢ナビライブ2019 東京会場

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自然界のデザインはアイデアの宝庫

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玉虫発色製品

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トンボの羽に学ぶ製品

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講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 生物機能開発学、昆虫学

東京農業大学
農学部 デザイン農学科 教授
長島 孝行 先生

先生の著書
メッセージ

 好きな得意分野を伸ばすのは大切です。しかし、嫌いな苦手分野も拒絶しないようにしてください。「できる」「できない」は、あとでどうにでもリカバーできます。しかし、拒絶してしまえば、そこで成長する可能性がなくなります。
 「好き」を入り口にするのはいいのですが、その枠内に収まっていてはいけません。次のステップとして、その枠を破って外に出てください。枠を破ることなく専門に偏ってしまってはダメです。得意分野は、あなたにとって、1つの道具に過ぎません。その道具を使って、新しいことに挑戦してください。

先生の学問へのきっかけ

 「インセクト・テクノロジー」という、生き物の機能をものづくりに応用する技術を研究しています。
 35歳頃までは、細胞学、解剖学、発生学を中心に研究していましたが、限られた地下資源である石油への依存度を社会が高めていくなか、このままではいけないという思いが強くなり、生き物や水などの再生可能な自然の資源の可能性に注目するようになりました。そして、インセクト・テクノロジーという新しい分野の先駆者となったのです。新しいジャンルだからこそ、上の世代よりも下の世代から学ぶことのほうが多いです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

研究職/公務員/サイエンスコミュニケーター/六次産業/エンジニア/シンクタンク/ベンチャー

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長島 孝行 先生がいらっしゃる
東京農業大学に関心を持ったら

 東京農業大学は、地球上に生きるすべての動物・植物・微生物と向き合い、それらの未知なる可能性、人間との新たな関係を追究していく大学です。食料、環境、健康、バイオマスエネルギーをキーワードに、創立以来の教育理念「実学主義」の下、実際に役立つ学問を社会のため、地球のため、人類のために還元できる人材を養成しています。世田谷、厚木、オホーツクの3キャンパスに6学部23学科を有します。

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