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講義No.08509

悪魔が創った「表面」と「電子」の関係

物質の「表面」という特殊性

 あるモノの性質は元素によって決定づけられますが、その「表面」というのは、無限に続く原子の配列が突然、途切れたものであり、中身の元素とは性質が異なるものです。例えば、表面に異なる元素が一層つくことで、「電子放出特性」が制御され、その固体の持つ性質はガラリと変わります。
 半導体は、そのままでは光や熱を当てても電子を出さない物質の表面に、アルカリ金属の元素がつくなどすることで、電子を放出する原理を応用したものです。つまり、「表面」を用いれば、物質に新しい性質を持たせ、電子に新しい機能を持たせることができるのです。ノーベル物理学賞を受賞したヴォルフガング・パウリという物理学者が、「固体は神が創りたもうたが、表面は悪魔が創った」と語ったように、物質の表面は特殊な性質を持っているのです。

真理が解明しにくい「電子」の世界

 これら「表面」にも関係する電子の働きについては、何百年も前から研究が続けられていますが、特に「電子放出材料」に関しては、経験的に知られていることは多いものの、「どうしてそうなるのか」は、未解明な部分が多いのが実情です。表面と関係した電子の挙動は宇宙空間くらいの純粋な真空環境でないと乱されてしまうため、その研究の背景には、技術的な難しさがあるからです。

あらゆる分野に応用される「電子線」

 今は、スマートフォンや音楽プレーヤー、ICレコーダーなどの機器が驚くほど小型化されました。これらの機器には「微細加工技術」が活用されていますが、それを実現できたのは、「電子線」でモノを加工することが可能となり、非常に細かいパターンを作れるようになったからです。また、普通の顕微鏡では、光の波長が原子に比べてはるかに大きいため、原子を見ることはできませんが、電子は原子より波長が小さいので、電子顕微鏡を使えば原子を見ることができます。
 このように電子線は、基幹技術としての「微細加工技術」にも用いられ、電子顕微鏡のような「解析技術」にも応用されているのです。

夢ナビライブ2019 東京会場

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この学問が向いているかも 表面科学

東京理科大学
理学部第二部 物理学科 教授
目黒 多加志 先生

メッセージ

 実験レポートは自分の実験結果を主張するための成果物ですが、自分の主張をわかってもらうためには、わかりやすく書く力や表現力など、「伝えるための工夫」が不可欠です。理系の学生は文系科目に苦手意識を持つ人が多いようですが、いくらよいデータやすごい研究成果を出しても、それを他人に理解してもらうための工夫や心配りをしなければ、相手に伝わらず、社会では通用しません。
 自分で出したデータ(結果)を、いかに歌い、踊らせるか、いつも学生には、「研究者は、優れた舞台監督であれ!」と言って、叱咤激励しています。

先生の学問へのきっかけ

 高校時代、数学の先生から、「目黒君は生徒会の副会長なのに、数学の成績が悪いんだね」と言われたことに思わずカチンときて、その先生を見返そうと数学の猛勉強をしたところ、たちまち学年トップの成績になりました。
 もともと物理と国語が好きで、理系か文系か進路を決めかねていたのですが、これを機に進路を大きく理系にシフトしました。その後もいろいろな人との偶然の出会いが人生に大きく関わってきました。そんな経験から研究室の学生には、「出かけた先で、必ず一人は友だちを作ってくるんだよ」と、人との交流を勧めています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

国研研究員/材料系・電気系メーカー研究員/中学・高校教師など

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目黒 多加志 先生がいらっしゃる
東京理科大学に関心を持ったら

 東京理科大学は8学部33学科、大学院11研究科30専攻を擁し、理工系のほぼ全ての分野を網羅する理工系総合大学として、多方面わたる科学技術者や研究者、理数系教員を輩出しています。教育面では、実力を備えた学生を卒業させる「実力主義」の伝統を受け継ぐとともに研究力・人間力・国際力を育んでいます。研究面でも30を超える研究センター・部門等があり最先端の研究が活発に行われている他、国公立や民間の試験研究機関との連携大学院協カなどを行っています。

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