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講義No.08508

未知を解明する「分析化学」の世界

分子の状態がわかれば、新たな物質を生み出せる!

 私たちの身のまわりの物質は、複数の分子が集合したもので、その構造の多様性から生じるさまざまな機能があります。これらの分子がお互いにどう作用し、どのような集合状態にあるのかは、まだまだ解明されていないことばかりです。
 仮に、こうした分子の集合状態を制御し、設計通りの分子構造を構築できるようになれば、多様な機能を持つ物質を新たに生み出すことができるようになります。従来の化学研究では、複雑な分子を作って薬にしたり、工業系の材料にしたりすることが主流でしたが、現在ではこうした「分子の配列をどう制御し、新たな構造を作るか」に注目が集まっています。

「溶き卵」を「生卵」に戻すことは可能か?

 例えば、「生卵」と「溶き卵」は見た目だけではなく、分子の構造も違っています。つまり、生卵の黄身には「黄身の分子の配列」があり、白身には「白身の分子の配列」があるのです。これらが混ざり合うことで溶き卵となり、違った分子構造を形成します。
 「生卵から溶き卵を作る」のは簡単ですが、「溶き卵を生卵の状態に戻す」のは、今の技術では難しいですが、分子的な解明が進めば、その構造の違いを利用して黄身と白身の再分離が実現できるようになる時代が来るかもしれません。

優れた製品を作るためには、分析能力が不可欠

 理学部の研究は、「探索」→「発見」→「解明」→「予測」と進みますが、「発見」や「解明」は分析化学なしには実現できません。「こんな製品を作りたい!」と考えることは大切ですが、真に優れた製品を開発するためには、ただ作るだけではなく、不具合が発生したときの原因分析や、それをふまえた改善も必要です。
 研究開発は「リサーチ・アンド・デベロップメント」とも表現されますが、この「リサーチ」は「いつ開発できるかわからないものを純粋科学的に追究すること」であり、こうした「探索型」の視点は、優れた製品開発には欠かすことのできないものなのです。

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映画やドラマの中の分析化学

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この学問が向いているかも 分析化学

東京理科大学
理学部第一部 化学科 教授
宮村 一夫 先生

メッセージ

 工学部と理学部の違いを説明するために、しばしばラーメンの例え話をします。おいしいラーメンに出会ったとき、「こんなおいしいラーメンを作りたい!」と創作意欲が湧く人と、「どうしてこんなにおいしいのだろう?」とその理由を探究したくなる人がいると思います。前者が工学部的発想、後者が理学部的発想と言えます。
 近年は、工学部を志望する学生が増えていると聞きますが、ものづくりのためには、その強みと弱みを分析する理学部的な発想が不可欠です。

先生の学問へのきっかけ

 今の分析化学の分野に進んだのは、小学校3年生の頃、父から贈られた子ども向けの化学キットがきっかけでした。それ以来子ども部屋は、自分専用の研究室になったのです。
 父が銀行に勤めていた関係で、子どもの頃はイギリスに住んでいたこともあるので、その時身につけた得意の英語を生かして、「通訳案内士」の資格を持っていたり、全国のJRと私鉄全線の完全乗車を達成した「鉄道オタク」であったりという一面もあります。
 原点は、「なぜだろう、どうしてだろう」という、子どもの頃からの変わらない好奇心です。

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宮村 一夫 先生がいらっしゃる
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 東京理科大学は8学部33学科、大学院11研究科30専攻を擁し、理工系のほぼ全ての分野を網羅する理工系総合大学として、多方面わたる科学技術者や研究者、理数系教員を輩出しています。教育面では、実力を備えた学生を卒業させる「実力主義」の伝統を受け継ぐとともに研究力・人間力・国際力を育んでいます。研究面でも30を超える研究センター・部門等があり最先端の研究が活発に行われている他、国公立や民間の試験研究機関との連携大学院協カなどを行っています。

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