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講義No.08354

建物を観察し職人の技を記録する~まちの歴史を未来へ伝えるために~

建物と向き合い、価値を見出す

 神社仏閣や古民家、茶室など歴史的に貴重な伝統建築は東北各地に数多く残っています。なんでも簡単に記録保存ができる現代と異なり、設計図が残っているものはほとんどないので、どのような材料と技術を用いたのかを知るためには、目の前にある建物をひたすら観察し、スケッチし、測量して、細部にわたって徹底的に調べる必要があります。それらをもとに図面を起こし、職人の技を記録することで、歴史的建造物の価値を見出し、正しく評価することができるのです。

自然素材の生かし方を学び、アイデアに結びつける

 例えば、茶室は約4畳半の中にものづくりの考えが凝縮されています。古い建物の場合、使用された素材は限られていますが、必要最小限のスペースに、いわゆる「わび」「さび」が存在し、つつましさの中に吟味された材料と手間ひまをかけた職人のユニークな世界観が繰り広げられています。
 よく観察すると、リサイクルした古材が組み込まれていたり、木や竹や草などの風合いや特性、クセまでもが見事に生かされたデザインであることを知ることができるのです。こうした自然素材を生かした和の伝統美は現代建築にも通用する知恵で、海外でも注目されています。現存する茶室の素材や職人が施した技を研究することは、保存修復のみならず、今後の建築に生かすアイデアに結びつくはずです。

地域貢献の観点からも重要な「建築のアーカイブ」

 東北各地の町並みや建物のフィールドワークをすると、ひとくくりにできない建築文化の豊かさを実感します。地域によって茶道の流派も違えば茶室のしつらえも、家の間取りも異なります。そこには当時の歴史的背景が大きく関わっているのです。古めかしいのが嫌だと改築の道を歩んだ時代もありましたが、地方の建築の特色を歴史的価値として正しく伝え、その価値が景観として見えてきたら、魅力あるまちづくりにも生かすことができるはずです。そのためにも、これまで蓄積された研究結果のアーカイブ作りも大切と言えるでしょう。


この学問が向いているかも 建築学、保存修復学

東北工業大学
建築学部 建築学科 准教授
中村 琢巳 先生

先生の著書
先生がめざすSDGs
メッセージ

 建物をじっくり観察してみると昔の職人さんたちの優れた技術がたくさん残されています。それを学ぶことは、これから求められるエコロジーで持続可能な建築設計や、歴史的建造物の保存修復、さらには地域活性のまちづくりなどにもきっと役立ちます。
 スケッチしたり測量したりと細かで地道な作業はたくさんありますが、リサーチ力をしっかり身につけることもできます。手先を動かすことが好きでものづくりに興味がある、または歴史ある建物の保存再生に興味があるなら、一緒にフィールドワークしましょう。

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中村 琢巳 先生がいらっしゃる
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 本学では、「創造から統合へ」をユニバーシティスローガンに掲げ1964年の創設以来、3万人を超える卒業生を輩出し、日本の、とりわけ東北地域の産業・経済の発展に大きく貢献してきました。自然に囲まれた豊かな環境でありながら、仙台市街地にも近く利便性の良い 「八木山キャンパス」「長町キャンパス」の両キャンパスで創造的な思考を学ぶべく、最先端の環境を整え、学生の期待と意欲に応えるカリキュラムを用意しております。
 進化し続ける学びのステージ。それが東北工業大学です。

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