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講義No.08223

復興のヒントは過去の災害にあり!

復興のための公共事業案を自ら提案した雲仙

 1991年、長崎県の島原半島にある雲仙普賢岳が噴火し、甚大な被害をもたらしました。火砕流による被害も大きかったのですが、堆積した火山灰が降雨により流出する土石流が発生し、噴火が小康状態になった後も家屋が流される被害が続きました。そこで国は土石流を食い止めるダムや堤防の建設を進めたのですが、その堤防を越えるかもしれない土石流の威力を懸念して住民たちは、自ら土地を7mもかさ上げする公共事業を創案して実現させたのです。

後の災害のモデルケースに

 阪神・淡路大震災が起きた1995年が日本の「ボランティア元年」と言われますが、実は既に雲仙でその原型ができていました。さらに義援金などをもとに復興基金を設けて、その利子の運用益を個人の生活再建費に充てるなどの工夫が重ねられました。こうしたノウハウは後の大災害、阪神・淡路大震災や新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震などの復興にも生かされています。

真の復興とは?

 復興計画のポイントとなるのは被災者の視点に立つこと、そしてできれば被災者自身の手で計画を策定することです。被災地の独特の事情や成り立ちを考慮せずに、ただ倒れた家屋を撤去し、瀟洒(しょうしゃ)な街を作ろうとすると、そういう街は地価が上がってしまうだけで、元の居住者が住めなくなってしまう可能性があります。復興で住み慣れた土地を追われてしまう人々が出てくる、つまり、「復興災害」に遭う人が出てきてしまいます。
 近年ではすべてを行政に委ねるこうした危険性に気づき、どういう街を作り直したいのか、事前復興計画を立てる地域も増えています。あらかじめ住民の意志を明確に言葉に表しておいて、万が一の被災に際しては、これを復興の公共事業に反映してもらおうというのです。その地に根を張っていた被災者が望むのは、その場所で働き、生きることです。住民が元のような生活を送れるようにすることこそ、真の復興だと言えます。誰のための復興なのか、まずはその原点をよく考える必要があるのです。

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この学問が向いているかも 自然災害科学、防災学、社会学

専修大学
人間科学部 社会学科 教授
大矢根 淳 先生

メッセージ

 近年、急に日本が災害に見舞われるようになったと感じるかもしれませんが、20世紀後半に平穏な時期がしばらく続いていただけで、長い歴史を見れば最近の状態が普通なのです。
 ひとたび災害が起こると初期の救出活動や政府の対応にばかり目が行きますが、災害の影響はその後も続きます。被災した人が避難所や仮設住宅での生活を終えて元のように家を再建し、結婚や出産を含めて元の生活リズムを取り戻して、ようやく復興と言えるのです。被災地全体が復興するまで約30年かかります。災害を中長期的にとらえる視点を養ってください。

先生の学問へのきっかけ

 古くからまちづくりに力を入れている地域で育ったため、周囲には街やコミュニティをどう作るかに関心のある友人が多くいました。そんな環境に影響を受け、大学で地域社会学を学ぶことにしました。
 そして、災害復興の研究を始めた頃、1991年、雲仙普賢岳の噴火が発生しました。火砕流が発生し、後に別の場所でさらに土石流が起こるという状況でした。単に災害からの復興をめざすのではなく、多くの災害から多様な教訓を学ぶ必要性を感じ、中長期的に復興について研究し、後の被災地に復興への取り組み方を伝えています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

調査を学びデータを収集分析する能力を磨いて通信社の記者になる人、文献検索の地道な作業を体得して公務員や銀行員になる人、そして、言説を構築する能力を研ぎ澄まして広告代理店に勤める人など多種多様

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大矢根 淳 先生がいらっしゃる
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 専修大学は、1880年(明治13年)に経済科と法律科からなる専修学校として創立されました。「経済科」は日本初の、また「法律科」は私学で初の高等教育機関でした。2019年に創立140年を迎える、日本でも屈指の伝統を持つ大学です。社会科学、人文科学、総合科学、の3系統、8学部20学科からなる社会人文系総合大学として、「自ら問題を見つけ主体的に解決する知力」と「人間力」、「倫理観」を持った人材を育成しています。まずはオープンキャンパスの大学紹介や模擬授業に参加して、大学の雰囲気を体感してみてください。

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