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講義No.07726

建築の「保存・再生デザイン」とは?

今後ますます増える近代建築の保存・再生のニーズ

 日本では近年まで、ある建物が古くなったらすべて取り壊して新しく建て直すというやり方がごく当たり前のことのように行われていました。しかし、最近では優れた意匠を持つ近代建築をできるだけ残していこうという姿勢が社会的にも注目されており、そうしたプロジェクトは今後ますます増えていくと予想されます。

緻密に計画された東京駅赤レンガ駅舎の再建

 保存・再生された代表的な事例としては、東京駅の赤レンガ駅舎が挙げられます。東京駅の丸の内側にある赤レンガ駅舎は第二次世界大戦中の東京大空襲で被災し、戦後の復興工事の際に本来の3階建てから2階建てに規模を縮小した形で再建されました。それから時を経て、2007~2012年にかけて赤レンガ駅舎を創建当時に近い姿に復原する工事が行われたのです。
 当時と同じレンガの外壁や、尖塔やドームの内外などの各部分の意匠は、残されている史料や同じ設計者が手がけたほかの建築などを綿密に検証した上で、可能なかぎり本来の姿に近づける努力がなされました。また、屋根材などの建材で利用可能なものは、新しい駅舎でも引き続き用いられており、一方で地下1・2階の増築や免震装置の設置など、現代の建築として必要な機能も併せ持っています。さらに、こうした工事が駅としての機能を保ちながら行われました。日本の近代化の象徴的な存在の一つだった赤レンガ駅舎は、こうしたさまざまな工夫と努力によって、当時の姿によみがえったのです。

理論と実践の両輪から考えよう

 近代建築の保存と再生を考える上で大切なことは、古いものをただそのまま残すのではなく、耐震性能やバリアフリーへの配慮など、日常的に使われる建築としての役割も果たせるものにするという点です。その建築にまつわる歴史や文化を理解し、当時の設計思想をきちんと検証した上で、それらを具現化し、再び百年、二百年と使い続けられるような建築へと再生していくなど、建築の保存と再生には、理論と実践を両輪とした考え方が必要なのです。

夢ナビライブ2017 東京会場

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「復原」とは何か

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東京駅の「復原」×「再生」

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保存再生の世界的事例

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講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 建築学

工学院大学
建築学部 建築デザイン学科 准教授
大内田 史郎 先生

メッセージ

 私は古い建築を活用する「保存・再生デザイン」というものを研究しています。これまでの日本では古い建物はすべて壊して新しいものを作るという「スクラップ・アンド・ビルド」が多く見受けられましたが、これからは環境や歴史に配慮して古い建物を生かし、さらに使いやすく再生していくことが重要になってきています。そして、そのようなプロジェクトはこれから日本でますます増えていくと思いますので、興味がある人はぜひ一緒に研究しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 父が建築の仕事をしていた影響で、子どもの頃から「建築って面白そう」と興味があり、大学に進学して建築学を学びました。
 「ある特定のクライアントのための建物というより、多くの人が利用する公共的な建築物にひかれたこと」と、「設計や施工に特化せずトータルで建築に携わりたい」という思いから、JR東日本に就職しました。
 その後12年間にわたり、東京駅の丸の内側にある「赤レンガ駅舎の復原」というビッグプロジェクトに携わり続けました。基本計画から設計、工事の契約や監理に至るまで、あらゆるプロセスに関わりました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

建築設計事務所/インテリアデザイン事務所/不動産デベロッパー/ハウスメーカー/建設会社/工務店

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大内田 史郎 先生がいらっしゃる
工学院大学に関心を持ったら

 工学院大学は、2017年に創立130周年を迎えた、伝統のある大学です。2019年4月から、専門性を高めた知識を得られるように、先進工学部の「応用物理学科」と「機械理工学科」では各学科を2専攻に分け、きめ細かな学修ができる体制に変わりました。
 応用物理学科には応用物理の分野を究める「応用物理学専攻」と宇宙関連分野を学ぶ「宇宙理工学専攻」を、また機械理工学科には従来の機械の知識を学びながらグローバルな視点を養う「機械理工学専攻」とパイロットライセンスの取得をめざす「航空理工学専攻」を設置します。

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