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講義No.07126

植物の病気を善玉菌で防ぐ「生物的防除法」とは

イチゴの病気を防いで産地を守れ!

 農産物は、品種や栽培方法が変化すると現れる病気も変わってきます。以前、東日本で「女峰」というイチゴが多く作られていたとき、それ以前はあまり知られていなかった「イチゴ炭疽(たんそ)病」という病気が大流行しました。日本一のイチゴ産地が存亡の危機にひんしたのです。そこで、さまざまなアプローチで病気を防ぐ方法が考えられました。化学農薬を使う方法や、畑を衛生的に保つ方法も考えられました。さらに、自然界から見つけた善玉菌を使って病気を防ぐ方法も開発されました。この方法が「生物的防除法」です。

減農薬に役立つ生物的防除法

 病気にかかったイチゴの組織から病原菌を分離したところ、病原菌とともに普通では見られない菌が見つかりました。この随伴分離された菌を培養し、先にイチゴに接種し、その後病原菌を接種したところ、イチゴは病気にかかりませんでした。この菌が「善玉菌」です。
 この善玉菌はイチゴを病気にかかりにくくする上、ほかの菌を食べるのです。こうした菌が先にイチゴにすみついているので、後から来た病原菌は繁殖できないのです。この善玉菌を用いて、野菜類のうどんこ病やイネの病気を防ぐ生物農薬を開発しました。本生物農薬は、新JAS(日本農林規格)法に基づく有機農産物生産にも使用できます。

農産物の安心のために

 化学農薬に比較して、生物農薬はさらに「安全・安心」をもたらす方法として期待されています。ほかにもこうした菌を探す研究が進んでいますが、なかなか見つからない上、仮に見つかったとしても製品として使える形にするのは大変難しい技術が必要です。
 しかし、農産物の「安全」をより確かなものにすることは、消費者が強く望んでいます。また、その農産物のブランド化にも大きく貢献すると考えられています。今後研究が進めば、さらに新しい生物農薬が開発されるでしょう。

夢ナビライブ2019 東京会場

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植物病被害での減収

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イチゴの最重要病害「炭疽病」

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防除のメカニズム

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講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 植物病理学、植物菌類学

法政大学
生命科学部 応用植物科学科 教授
石川 成寿 先生

メッセージ

 古い岩波文庫に『微生物の狩人』という本があります。人類を救ってきた微生物を発見した偉人たちの業績を知ることができる本です。この本のように、まだまだ人類のためになる微生物はいるはずです。
 地球規模で考えると食糧危機はますます深刻になります。飢餓は紛争の原因になります。作物の病気を防ぐ善玉菌を見つけることで、病気による減収分を可能な限り減らしたいと思って日々研究をしています。バイオロジカルコントロール(生物的防除法)に興味がある人はどんどん参加して仲間になってほしいと思います。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

都道府県農業試験場の研究員/農業普及センターの農業技術者/農協の営農指導員/化学会社の研究員

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石川 成寿 先生がいらっしゃる
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