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講義No.07019

世界を驚かせた「鉄系超伝導体」の発見

超伝導の常識をひっくり返した「鉄系超伝導体」

 温度を下げると物体の電気抵抗がゼロになり、その物体の中に磁力線が入らなくなります。それが超伝導で現象としては非常にシンプルです。超伝導は現象そのものが興味深いだけでなく、リニアや送電など多くの応用の可能性があるので、活発な研究がなされてきました。最初に見つかったのは水銀で、その後さまざまな物質での超伝導体が報告されました。長い間、永久磁石になる性質をもつ金属は超伝導体にはなりえないと考えられていました。ところがその常識をひっくり返すことになったのが、2008年、鉄系酸化物が-247℃という超伝導の中では「高温」で超伝導体になることが日本から発表されたときです。この発見は世界に衝撃をもって受け止められました。

磁石が超伝導にならないというかつての「常識」

 電子はそれぞれが自転(スピン)していて、磁力をもっています。スピンには上向きと下向きのものがあり、電子はマイナスの電荷をもち、通常は反発しあって単独で存在しています。超伝導体ではスピンが上向きのものと下向きのものが瞬間的にペアを組み、次の瞬間には別の電子との間でペアをつくります。一方、スピンの向きが、きれいに揃っていて時間的にも変わらないのが磁石です。ですから磁石の代表である鉄は超伝導の発現には極めて有害と考えられていました。

物質に隠された役に立つ性質や機能を引き出す

 鉄系超伝導体の発見は、鉄系化合物の構造と電子的な特性に注目したことから生まれました。私たちが住む世界は多様な物質で溢れていますが、それらはたった100程度の元素からできています。これは不思議で面白いことです。元素の組み合わせや構造で、物質はさまざまな性質や機能をもちます。鉄のようにありふれた物質にもまだまだ知られていない社会に役立つ性質や機能がたくさんあるはずで、それを発見し、つくり出すのが材料の研究の醍醐味です。

夢ナビライブ2019 東京会場

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鉄とシリコン

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電子が軽くなるとどうなる?

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日本が作った世界最強磁石

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この学問が向いているかも 材料科学、材料工学

東京工業大学
応用セラミックス研究所/元素戦略研究センター  教授
細野 秀雄 先生

先生の著書
メッセージ

 現代は変化の激しい時代で、未来を見通すのは困難です。それでもほぼ確かだと思えるのは、未来は今よりも資源の制約が大きくなり、さまざまな分野で世界との競争が激しくなるということです。そういう時代を強く豊かに生き抜くために、若いあなたには広い視野をもってほしいと思います。これまでの時代がどうだったとか、上の世代の人たちがどうだったとかにとらわれず、世界の同世代の人たちが何に取り組んでいるかに意識を向けてください。そこから、困難な時代を生き抜くヒントが見えてくると思います。

先生の学問へのきっかけ

 私が化学の世界に目覚めたきっかけは、中学生の時に行った水の電気分解の実験です。1.5V程度の電圧をかけるだけで、まず水から気体が出てくることにビックリしました。また水は普段、火を消すことに使われるのに、電気分解で出てくる水素は燃える性質が、酸素はものを燃やす性質があります。もとの物質とはまったく異なるものが生まれてくることに衝撃を受け、物質とは何と面白いんだろうと思いました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

材料はほとんどの産業に不可欠ですので、いろいろな分野で活躍の機会があります。
具体的には電機、機械、化学など素材を扱う企業の技術者、研究者。大学、国の研究者など。

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細野 秀雄 先生がいらっしゃる
東京工業大学に関心を持ったら

 東京工業大学は、1881年の創立以来理工系総合大学として時代を切り拓いてきました。2016年には、大隅良典栄誉教授がノーベル生理学・医学賞を受賞するなど世界トップレベルの研究を行う大学として高い評価を受けています。現在、本学は日本初となる学部と大学院を統合した「学院」を設置するなど、大きな改革に取り組んでいます。学生が自らの興味に基づいて体系的に学べるカリキュラムを用意するとともに、全ての人がベストパフォーマンスを発揮できる教育・研究環境を実現して、よりよい未来の創造に貢献する人材を育てます。

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