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講義No.07017

なぜパラリンピックの記録は飛躍的に伸びたのか?

義肢に体を合わせるから、体に合わせる義肢へ

 義肢や車いすの歴史は古いのですが、きちんと研究されるようになったのは20世紀後半になってからです。それまでは作り手により出来上がるものはバラバラで、使う人がそれに体を合わせていました。例えば、体に合わない義足を無理に使っていると装着部周辺を傷つけますし、スムーズに歩くことができません。車いすの場合は、足を乗せるフットサポートまでの長さが体に合っていないと体重がお尻にかかり、坐骨部を痛める原因となります。そのため義肢や車いすを作る上では、いかに使う人の体に適合させるかが大切になってくるのです。

体だけでなく生活環境にも合わせる

 義肢装具士は使う人の体だけでなく、その人の住環境も観察します。折りたたみ式の車いすは、実は日本の住環境に合っているためよく使用されていますが、むしろ欧米諸国の若いユーザーの中では折りたためない車いすの方がスタンダードです。また、生活環境の行動エリアの中に未舗装路があるか、スロープはあるか、よく使うテーブルの高さはどれくらいなのかなどによって、義肢装具をカスタマイズする必要もあります。この分野での日本の考え方はかなり進んでいて、体に合わせた義肢や車いすを作るために来日する外国人も増えています。

高齢社会に向けての課題

 義肢は普段の生活をしている状況では見分けられないレベルに達しました。また、パラリンピックなどスポーツにも対応できる義肢などの発展も目覚ましく、どんどん好記録が出るようになっています。膝に人工知能を搭載した義足ができるなど各パーツの進化も目覚ましいものがありますが、根底にあるのは「適合」の考えが進み、ストレスなく動けるようになったことがあります。
 課題は高齢社会への対応です。近年、糖尿病などで義足や義手を必要とする人が増えています。しかし、現状の義肢や車いすは、年を取ってからでは扱いにくく、不便を感じている人が多いのが実情です。高齢者でも簡単に扱える義肢や車いすを開発することが求められているのです。

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この学問が向いているかも 義肢装具学

新潟医療福祉大学
リハビリテーション学部 義肢装具自立支援学科 講師
前田 雄 先生

メッセージ

 義肢装具の研究は基礎段階にあり、大いに研究の余地を残している分野です。パラリンピックの会場で義肢装具の修理に従事したり、タイやスリランカに使われなくなった車いすを贈ったりするなど、国際的な場で活躍できる可能性も広がっています。何より製作するものが義肢や車いすですから、誰かの役に立てる喜びがあります。
 患者さんや医療スタッフとさまざまな話をしながら使う人に合ったものを作っていきますから、コミュニケーション能力が大切です。人と話すことが好きな人は、ぜひ志してください。

先生の学問へのきっかけ

 私は、子供の頃から人と接することや、物作りが大好きでした。義肢装具の分野に進もうと決めたのは、20歳の時です。初めは、義肢装具を作りたいと義肢装具の企業に就職しましたが、義肢装具士の資格をもっていなかったので、実際に使用する患者さんと接することができませんでした。そのため「義肢装具を製作して実際に使用する患者さんの意見や要望を聞きたい」という思いが、日ましに強くなりました。そこで企業を一度退職して、義肢装具士の道をめざしました。それが研究者としての私の原点です。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

義肢装具士/福祉用具専門相談員/福祉用具プランナー/福祉住環境コーディネーター/義肢装具研究員

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前田 雄 先生がいらっしゃる
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 6学部13学科すべての学科で国家資格をはじめとした専門資格の取得に対応したカリキュラムを配置しています。また、看護・医療・リハビリ・栄養・スポーツ・福祉の総合大学である利点を生かし、他学科の学生がチームを形成して学ぶ「連携教育」を導入し、関連職種への理解やコミュニケーション技法を身につけることで実践的な「チーム医療」を学びます。さらに、【スポーツ×リハビリ】【看護×福祉】など、学科コラボによる学びで、幅広い知識を修得します。

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