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講義No.06443

アザラシはかわいいだけじゃない!?

よくわかっていないアザラシの生態

 アザラシの生態はまだ明らかにされていません。アザラシは海に生息するほ乳類=海獣と呼ばれる生き物で、多くの種が見た目ではオス・メスの区別がほとんどつきません。繁殖は陸地で行い、年間1頭、生涯で約25頭の子どもを産みます。日本には現在5種類のアザラシが生息していますが、主に目にするのはゴマフアザラシとゼニガタアザラシです。ゴマフアザラシは広域で活動し、冬には北海道で越冬します。ゼニガタアザラシは通年、北海道沿岸部に定住し、北海道が生息の南限と言われています。陸と海の両方で暮らすアザラシの研究はフィールドワークが重要で、机に向かっての研究よりも生息地に出向いたり、捕獲したアザラシを調べることが中心です。

アザラシと人間社会の関わり

 大きな目がくりくりしてかわいらしいアザラシですが、北海道では漁網の魚の一部を食べたりして被害をもたらす害獣でもあります。漁業被害は甚大で、野生動物と人間との共存をめざす上でも大きな課題となっています。大学には捕獲したり網にひっかかったアザラシが年間300頭ほど持ち込まれ、それを観察したり解剖して、どんな食べ物を食べているのか、どんな生活をしているのか、また音などによるコミュニケーションが取れるのかなど、さまざまな角度からアザラシを研究しています。

産業に生かす研究も進んでいる

 アザラシの研究はその個体数や行動エリア、エサなどを調べることで海の生態系の変化を知るための指標にもなります。また陸地から海へと適応したほ乳類の進化についても知ることができるでしょう。そして北海道の基盤産業である漁業との関わりを通じて、野生動物と人間の共生についての研究という側面もあります。
 現在、アザラシの皮下脂肪を産業に生かせないかという研究も進められています。アザラシの脂肪には不飽和脂肪酸が多く含まれ、水をはじくのも特徴です。将来的には医療や工業分野などでアザラシを使った製品が出てくるかもしれません。

夢ナビライブ2019 東京会場

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海の中は過酷な環境

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アザラシに注目!

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アザラシと漁業と軋轢

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講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 海洋生物学、獣医学、動物学

東京農業大学
生物産業学部 海洋水産学科 教授
小林 万里 先生

メッセージ

 東京農業大学は、アザラシの研究を行っている国内唯一の学校です。アザラシに関わるすべての情報が集まります。またオホーツクキャンパスの研究施設は研究フィールドとも陸続きなので、すぐに現場にかけつけることができるのが大きなメリットで、アザラシのたくさんの魅力を発見できます。
 研究やフィールドワークを通じてさまざまな体験をすることができるので、好奇心と冒険心がある人にはとても楽しい研究環境です。学外と連携することも多く、人との出会いやコミュニケーションで貴重な経験もできます。

先生の学問へのきっかけ

 もともと野生動物を学ぶため獣医を志していましたが、大学院での研究をきっかけにアザラシに着目したのです。研究対象にした理由は「陸生哺乳類だったアザラシ類が海へ適応することでどのような進化を遂げてきたか興味深かったから」、2つ目は「海洋の食物連鎖の上にいるアザラシ類から海の生態系の変化や汚染状況の評価ができるのではないかと考えたため」、3つ目は「近年の流氷の減少に伴うアザラシ類の変化は生息する分布の南端である北海道で目立つであろう、と考えその変化を実感したいと思ったため」です。

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小林 万里 先生がいらっしゃる
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 東京農業大学は、地球上に生きるすべての動物・植物・微生物と向き合い、それらの未知なる可能性、人間との新たな関係を追究していく大学です。食料、環境、健康、バイオマスエネルギーをキーワードに、創立以来の教育理念「実学主義」の下、実際に役立つ学問を社会のため、地球のため、人類のために還元できる人材を養成しています。世田谷、厚木、オホーツクの3キャンパスに6学部23学科を有します。

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