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講義No.06412

天然のものは体によく、食品添加物は体に悪いの?

天然物だから安全って本当?

 私たちがふだん口にする食品の中には、保存性を高め、おいしさを保つために、保存料、香料、着色料といった食品添加物が使われているものがあります。一般に「天然のものは安全」「人工的な添加物は体に悪い」と思われがちですが、本当にそうなのでしょうか?
 食品添加物の中にも化学合成化合物と天然由来のものがあり、どちらも安全性に関する詳細な検査が行われています。そして、その物質が何の悪い作用も起こさない「無毒性量」を割り出し、さらにその100分の1の量を「一日摂取許容量」として決めます。実際に食品に添加されるのは、一日摂取許容量より少ない場合がほとんどですから、食品添加物として体内に入るのはかなり安全と考えられる量になります。

ハムとほうれん草を比べてみる

 食品添加物の一例を挙げると、ハムには発色剤として亜硝酸ナトリウムが使われていますが、これは肉の変色を防ぐだけでなく、ボツリヌス菌やサルモネラ菌の繁殖を防ぐ、脂肪の酸化を抑えるなど食の安全を守る効果があります。その半面、胃の中でニトロソアミンという発がん物質を作る原因となるため、食品に添加できる量は安全性検査をもとに厳密に制限されています。
 一方、ほうれん草などの野菜に含まれる硝酸根は、人の口腔内の微生物の働きで亜硝酸ナトリウムに変化するため、実は私たちはこの野菜由来の亜硝酸ナトリウムを一日20mgも摂取しています。これはハムに含まれる量よりもずっと多く、ニトロソアミンによる発がんリスクを減らすには、野菜からの硝酸根の摂取を減らすのが一番です。しかし、こうした野菜には、ビタミンやミネラルなど体に必要な成分も多く含まれていて、食べるメリットも大きいのです。

食品を多面的に分析する

 ある食品が安全か、健康によいか、悪いかというのは、摂取する量によって決まります。体によいとされているものも取りすぎれば健康に悪影響が出ます。そこで、いろいろな成分が含まれている食品のメリットとリスクを科学的視点から多面的に判断することが重要です。


この学問が向いているかも 食品科学、食品安全学

日本獣医生命科学大学
応用生命科学部 食品科学科 食品安全学 教授
吉田 充 先生

メッセージ

 食品科学とは、「食品をおいしくするのはどんな物質か」「健康によい食生活とは何か」「食の安全はどう守っていくか」などについて考える科学です。ある物質が健康によいか悪いかは、それが化学合成化合物であるか天然物であるかとは関係がありません。どの食品にもさまざまな成分が含まれているので、私たちは体によいものもよくないものも一緒に食べているのが現状です。これら食品に含まれるものの作用を総合的かつ科学的な視点からとらえ、食生活に役立てるのが食品科学です。私たちが毎日食べる食品についてぜひ一緒に学びましょう。

先生の学問へのきっかけ

 中学生の頃から、机の上での勉強よりも、実験や外に飛び出してのフィールドワークに興味がありました。高校時代に化学と生物学の面白さを実感し、大学では農作物の生産に関する化学を扱う農芸化学を学びました。科学の世界では、一つの研究に集中して取り組むことも大事ですが、広い視野からデータを多面的に解析することも大切です。学生の頃から、自分の実験結果だけでなく、他の実験グループからも情報を集めて検証や考察をすることが好きだったので、偏見にとらわれず、データを総合的に判断する力を身につけることができました。

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吉田 充 先生がいらっしゃる
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 いのちを見つめ続ける大学
 
 本学は、明治14(1881)年に東京都文京区にある護国寺の一隅で開学して以来、生命科学系の最高学府として140年の歴史があります。
 獣医学部(獣医学科・獣医保健看護学科)と応用生命科学部(動物科学科・食品科学科)の2学部4学科を置き、高度獣医療への対応、生物多様性の保全、食資源となる産業動物の生産、産業動物飼育環境の整備、食品の安全性の確保などの社会的ニーズに応えていける「生命・環境・食」のスペシャリストを育成しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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