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講義No.06391

「食べられる」だけじゃない、「きのこ」パワーがすごい!

きのこは人間の生活を支えている

 きのこは森の中で落葉や朽ちた枝を分解し、土に戻してくれます。しかも葉や枝の含んでいた窒素やタンパク質を土壌に与えるため、動植物を生育させる栄養素となるのです。
 1990年の雲仙・普賢岳の噴火後には、火砕流跡地の土壌回復を促すために、一般的なシダ類といっしょに菌根菌のコツブタケも空中散布されました。また、きのこが地中に菌糸を伸ばすことで土壌は軟らかくなります。軟らかくなった土壌は雨水をろ過し、木々は根を深く伸ばすことができ、山崩れを防いでくれます。実は、きのこは食用以外にも、さまざまな面で人間の生活に役立っているのです。

きのこはどんな森に生えるのか

 森には必ずきのこがあるというイメージがありますが、どんな森でも生えているというわけではありません。
 一般的なきのこの生育に適しているのは日本の里山に昔からある落葉広葉樹林で、針葉樹林にはあまり生えません。スギやヒノキなどの持つ油分を苦手としているからです。
 針葉樹は住宅建材に使われるため、高度成長期以来、積極的に植林されました。それもひと段落し、森林保全の観点から里山に目が向くようになったことで、現在では広葉樹を植林する動きも見られています。

高機能性きのこの開発

 シイタケやマイタケ、ヒラタケなどはダイオキシンや農薬を分解するため、汚染された環境を元に戻す「バイオレメディエーション」に利用されています。しかし、残念ながらセシウムなどの放射性物質は分解できません。
 東日本大震災で大打撃を被ったきのこ農家は土壌の除染などを行っていますが、放射性物質を排除しただけでは売り上げの回復は難しいのが実情です。例えば栽培地に消石灰や貝化石(貝殻の化石)を入れると、そこで育てたシイタケは鉄分やマグネシウム、カルシウムが豊富になります。ただ単に放射性物質を取り除くだけでなく、このようにプラスアルファの付加価値も持たせることが、今後のきのこの研究開発に必要なことだと言えるでしょう。

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この学問が向いているかも 林産化学

東京農業大学
地域環境科学部 森林総合科学科 教授
江口 文陽 先生

メッセージ

 将来、どういう職業に就きたいのか、どういう大人になりたいのか、可能性が無限にあるので、熟慮して大学を選んでください。どの分野の研究も細分化していく中、物事を総合的にとらえるのが総合科学です。化学合成や分析、育種にフィールドワークとあらゆることを経験することは、自分が学ぼうとすることへの土台作りになります。
 もしも森林の環境系の学問に進もうというのであれば、何が森にとって必要なのか、森の役割は何なのか、などを正しく理解し、ほかの人にもその知識を伝えてください。

先生の学問へのきっかけ

 私は、医学部に進学しようと考えていました。しかし高校3年生のときに父が病気になり、その際に「カワラタケ」というきのこを使った医薬品が処方されたことから、きのこに興味を持つようになりました。研究者になりたいと考えたのもその頃からです。現在では、きのこのあらゆることを知り尽くし、プライベートでは4000種類のきのこグッズを収集するなど、もはやきのこはライフワーク以上、人生そのものです。私の一番のお気に入りは「タマゴタケ」で、非常に甘味があり、リゾットにすると絶品です。

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江口 文陽 先生がいらっしゃる
東京農業大学に関心を持ったら

 東京農業大学は、地球上に生きるすべての動物・植物・微生物と向き合い、それらの未知なる可能性、人間との新たな関係を追究していく大学です。食料、環境、健康、バイオマスエネルギーをキーワードに、創立以来の教育理念「実学主義」の下、実際に役立つ学問を社会のため、地球のため、人類のために還元できる人材を養成しています。世田谷、厚木、オホーツクの3キャンパスに6学部23学科を有します。

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