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講義No.04788

インフルエンザを治す漢方薬のメカニズム

漢方薬を科学的に研究する

 漢方薬は、病気の予防や健康促進などに関しては、しばしば西洋医学よりも高い治療効果を上げることが知られています。その多くは、何百年という長い時間をかけた経験の積み重ねによって、用法が確立してできたものですが、近年では、より科学的な研究が進み、漢方薬が人体にどう作用するのかというメカニズムが解明されるようになってきました。

インフルエンザを治す「補中益気湯」

 例えば、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」という漢方薬には、インフルエンザを治す作用があることがわかってきました。インフルエンザは、ウイルスが体内に入って、次々に細胞に感染していくことで症状を引き起こします。ウイルスの侵入に対して、人体内では「インターフェロン」という物質を出すことによって、ほかの細胞への感染を抑えることができます。しかしインターフェロンは、ウイルスの侵入をきっかけに、細胞内でさまざまな遺伝子の発現を経て作られる物質なので、何日かたたないと作り出すことができません。その間に体内でウイルスが増殖すれば、細胞が死んでしまうこともあります。しかし、インフルエンザに感染する1週間くらい前に「補中益気湯」を飲んでおくと、細胞内に、インターフェロンの前段階である物質、IRF7を大量に作っておけるので、ウイルスに感染するとすぐにインターフェロンを作り出すことができます。つまり、「補中益気湯」は、「擬似感染」を起こす作用があるということが、わかってきたのです。

生体防御機能を高める漢方薬

 「補中益気湯」には、直接インフルエンザウイルスに作用する能力があるわけではありません。「補中益気湯」はもともと、風邪や虚弱体質、倦怠感などに効くと言われている漢方薬です。それが近年の研究によって、免疫力の低下した人体の生体防御機能を高めてくれる作用があるという、具体的な効果を知ることができるようになり、今後の診療への応用が期待されています。

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未来の薬局の役割

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風邪の漢方、葛根湯の使い方

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風邪の後にも使える漢方、処方する薬剤師

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この学問が向いているかも 薬学

横浜薬科大学
薬学部 漢方薬学科 教授
石毛 敦 先生

先生の著書
メッセージ

 高校の授業とは何のために必要なんだろうかと疑問に思っている人も多いと思いますが、思考能力がきちんと備わっていない人には医療に従事するのは難しい、と私は思います。今あなたが学んでいる数学にしても、音楽にしても、美術にしても、自分の感性を育て、それによって、自分で考える能力を養っているのです。今学んでいることはすべて大事だということを自覚しながら高校の授業を受けてください。感性豊かな、あるいは自信を持った優しい人を、横浜薬科大学は求めています。

先生の学問へのきっかけ

 今は漢方薬の教育・研究をしていますが、昔は何もわからずに、漢方薬が大嫌いで、「漢方薬なんて効くわけがない」と勝手に思っていました。当時は漢方薬の現代医学的な研究は全くなく、なぜ効くのかを科学的に証明したものがなかったのですから。そこで、私は天邪鬼にも「漢方薬は効かないこと」を科学的に証明しようと、研究の道へ進んだのです。しかし効かないことを証明しようとしていた漢方薬から、西洋薬の作用とは全く異なる効果が次から次へと出てきて、気づけば漢方薬の研究にのめり込んでいました。

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石毛 敦 先生がいらっしゃる
横浜薬科大学に関心を持ったら

 全国初の6年制薬科大学として開学した本学は、患者一人ひとりの苦しみを理解できる”惻隠の心”と”心の温かさ”を育てる教育を実践する。学長にはノーベル物理学賞を受賞した江崎玲於奈先生が就任。世界的な科学者の視点で個性教育を行うとともに、強く薬剤師を志す人の努力にはサポートを惜しまない風土が強みである。

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