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講義No.04315

医学に革命を起こすエピジェネティクス工学

学問を越境するバイオエンジニアリング

 化学・生物学・医学と工学を結ぶバイオエンジニアリングは、今後の生命科学、環境科学の分野で、中心的役割を果たすことになる研究領域と言われています。こうした異分野との接点とも言える領域においては、まだまだ謎が多く、新しいサイエンスの可能性が広がっています。その一つに、高分子化学・有機化学・分子生物学を基礎としたバイオマテリアル(生体材料)の創製が挙げられます。バイオマテリアルとは、人工臓器をはじめ、体の中に使用する材料一般を指しますが、その中でも、新しい遺伝子操作を可能とする技術が開発されつつあります。

新しい遺伝子医療

 かつては、人間の遺伝子内にあるDNAの塩基配列、いわゆるヒトゲノムを解析することで、さまざまな病気を治せるだろうと期待されていました。しかし実は、DNAの異常によって起こる病気はごく一部に過ぎません。人間の病気とは遺伝よりも環境要因によるものが多く、後天的な原因による病気は遺伝子操作では治すことができませんでした。しかし最新の研究によって、環境要因が遺伝子にどのような変化を及ぼすかが判明してきました。遺伝子の中の「ヒストン」と呼ばれる部分に後から加えられる情報が、生活習慣病など後天的な病気の原因になると考えられています。つまりヒストンのゆがみやゆるみを制御することができれば、それらの病気も治せるというわけです。それを工学的にコントロールする技術が、「エピジェネティクス工学」と呼ばれています。

未来の再生医療をになう 

 エピジェネティクスはまだ新しい研究分野ですが、塩基配列によらない新しい遺伝子操作を進めるために、確立が急がれています。この研究が進めば、細胞の分化の過程を解明することで、人間の細胞からさまざまな臓器を生成することができ、再生医療の飛躍的な進歩も可能となります。エピジェネティクスはこれまでの生物、医学の領域に革命を起こす研究であると期待されているのです。

夢ナビライブ2019 東京会場

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この学問が向いているかも 分子応用化学

首都大学東京
都市環境学部 環境応用化学科 教授
川上 浩良 先生

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メッセージ

 今の生活の中で、あるいは大学進学後に考えてもらいたいことが2つあります。1つは自分が本当に好きなこと、やりたいことを見つけること、もう1つは新しいことに挑戦することです。世の中で成功している人に共通することは、好きなことを最後まで成し遂げたということです。好きなことであれば続けることができます。新しいことへの挑戦では、自分の能力以上のことを試すので、多くの失敗をともないますが、失敗から学べることは多く、挫折は自分を成長させるチャンスです。首都大学東京はそういうあなたを応援します。

先生の学問へのきっかけ

 化学に興味を持ったのは、学問の中で化学だけが、物質を自由に作ることができる学問だからです。さらに、化学の中の高分子化学に興味を持ったのは、その多様性が化学の中で最も大きいためです。つまり、世の中で起こるすべてのことを高分子は研究の対象にすることができ、自分が興味のあることを高分子を使えば実現できると思えたからです。地球温暖化の二酸化炭素を分離する高分子膜の研究、水素社会の中心となる燃料電池の研究、遺伝子を制御して病気を治すエピジェネティクスの研究など、高分子を使えば全て実現できるのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

化学系企業研究員、総合電機系企業研究員、製薬系企業研究員、自動車企業研究員、化粧品系企業研究員、医療用機器系企業研究員

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川上 浩良 先生がいらっしゃる
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 東京都立大学(現首都大学東京)は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

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