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講義No.09210

陸でマグロやサーモンを育てる! ~地下海水を使った養殖の可能性~

地下海水を利用した陸上養殖に注目

 日本の漁業は今、さまざまな課題に直面しています。漁獲量が大きく減少する中で、海外の魚が食卓に並ぶことも多くなりました。
 そこで、養殖の研究が進められています。人工的に生けすで育てる養殖は、海の生き物を取り過ぎてしまうことを抑制しながらも、安定した質と漁獲量を維持することができます。ところが、海を利用して大量に養殖すると、生態系に影響を及ぼし、赤潮の発生原因となってしまったり、淡水が生けすに流れ込んで養殖の魚が被害を受けたりというリスクも持ち合わせています。そこで注目されているのが地下海水を使った「陸上養殖」です。

陸上で育てるメリットとは

 地下海水は水温が一定で、細菌も少なく、安定的に供給できる大変良質な資源です。そこに着目し、さまざまな生物の地下海水による陸上養殖の研究が行われています。ここで重要なのは、天然ものやほかの海中養殖の魚と比べ、いかに付加価値を付けるか、という視点です。まず、高価なヒラメは浅い水位で養殖できるので陸上養殖向きです。また、低水温に弱いカワハギも向いています。珍味とされるカワハギの肝(きも)は、天然の海では夏になると小さくなってしまいますが、一定水温の地下海水による養殖では夏でも冬と変わらぬおいしさを提供できるのです。このように付加価値を付けることで、陸上養殖の価値が高まります。

マグロやサーモンも陸上養殖で

 現在、地下海水を使ったクロマグロやサーモンの養殖の研究も進んでいます。人工飼料と地下海水で育てることで、陸上養殖の可能性が模索されています。もし陸上養殖に成功すれば、きれいな地下海水で育てることで寄生虫の心配がなくなるので、サーモンを冷凍せずに生で食べることも可能になります。どうやったら陸上養殖で安定的に成長できるか、日本の漁業の将来を見据えた研究が続いています。


この学問が向いているかも 水産学、水産増殖学、水族繁殖学、餌科学

東海大学
海洋学部 水産学科 生物生産学専攻 教授
秋山 信彦 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 私の専門は水産増殖学です。もともとは絶滅危惧種の淡水魚の保護活動からこの世界に入りました。大学のキャンパスは海のそばにあるため、深い井戸を掘ると海の水よりきれいな地下海水を取水することができます。その地下海水を使った養殖の可能性も探っています。
 研究室には大小たくさんの水槽があり、クロマグロ、タツノオトシゴ、タコなど、いろいろな生き物が泳いでいて水族館のようです。主に産卵のための条件や飼育環境の研究をしています。あなたも魚が好きで、漁業の将来に興味があるなら、一緒に研究しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 少年時代、偶然近所の池で見つけた淡水魚、ミヤコタナゴとの出合いが魚の研究を始めるきっかけとなりました。水産高校に進学し、自宅に小屋を作り、40から50個の水槽に囲まれて暮らしていました。高校時代から一人旅で水族館の館長や漁師に会いに行くなどし、魚好きから研究者への道が開かれていきました。
 大学や大学院では淡水魚の研究に没頭しました。現職に就いてからは地の利を生かした地下海水を使った生物の養殖、増殖を研究しています。生き物が好き、生き物を守りたいという少年時代の思いが、今につながっています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

水産試験場研究員/栽培漁業センター研究員/水族館学芸員/水産会社社員/飼料メーカー技術者/各種養殖場技術員

大学アイコン
秋山 信彦 先生がいらっしゃる
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 東海大学は、全国のキャンパス(湘南・代々木・高輪・清水・伊勢原・熊本・阿蘇・札幌)に19学部75学科・専攻・課程を擁する総合大学です。「文理融合」の教育理念のもと、副専攻制度として、主専攻はもちろん主専攻以外の興味のある分野についても自由に学べるカリキュラムを用意しております。
 文系・理系の枠にとらわれない教育によって、柔軟な思考力とバランスのとれた総合力を身につけます。

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