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講義No.08920

他人任せで生きる困ったやつ? 種の進化が生んだ寄生植物の不思議

植物の栄養を奪って生きる

 多様な進化を遂げてきた植物の中でも、ほかの植物から栄養をとって生きる植物が「寄生植物」です。自分で栄養を作らず、ほかの植物の根や茎に巻きついて栄養を取り、花を咲かせて子孫を増やします。その種類は多く、なかには根を持たないものや、光合成を行う葉緑素を持たないものも発見されています。
 寄生植物は、ネナシカズラをはじめ日本国内にも生息しています。アフリカや地中海沿岸、中東、南米、オーストラリアといった地域では、農作物への寄生が多く見られ、野菜や果物の生育が遅れたり枯れたりしてしまうなど、数兆円規模の深刻な被害が出ています。

相手の細胞とつながる特異な生き物

 茎に寄生するものは植物から出る揮発性物質、つまりにおいを感知して寄生を始め、土の中で寄生するタイプは、根から染み出すホルモン状の物質を感知して発芽を誘導しているとされています。寄生の仕方にはさまざまな方法があり、茎に巻きついたり根にくっついたりした後、「吸器」と呼ばれる器官を相手に挿入し、そこから栄養を得る例が多く見られます。相手に刺さるだけでなく、接している細胞同士がつながる点が寄生植物の特徴で、細胞の中身である「細胞質」が異なる植物の間でつながることは、生物全般でも極めて珍しい現象です。

寄生植物を通して触れる生物の不思議

 寄生植物への対策は世界中で進められています。「防除(予防と駆除)」という観点からは、寄生生物のメカニズムを解明し寄生を誘引する物質を特定することで、付着を防ぐ方法が研究されています。また、寄生植物への「抵抗性」の研究も進んでいます。自然の変異ではできない変異体を多数作って寄生植物に強い個体を探し、そこから取り出した遺伝子を活用する方法も試みられています。
 寄生生物の研究にはゲノム情報がフル活用されて解明が進められていますが、細胞間のやりとりや、においを感じて巻きつくといったマクロな現象も含め、生物学における未知の問題が多数存在しています。


寄生植物がみせてくれる細胞接続メカニズム

この学問が向いているかも 生物学、ゲノム科学

大阪府立大学
生命環境科学域 応用生命科学類 植物バイオサイエンス課程 教授
青木 考 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 どんな学問にも国語力が必要とされます。さまざまな議論をしたり、自分の考えを筋道立ててまとめたりする能力に国語力が大きく関わっているので、ぜひ高校生のうちから養成してください。また、ものごとをなるべく広くとらえることも意識してほしいです。例えば、大学でデータを取る際に、最低限の範囲から取るのか、全体の状況を見ながら広めに取るのかで、大きく成果が異なります。
 受験勉強では効率が求められると思いますが、なるべく広い視点と好奇心を持って学んでください。

先生の学問へのきっかけ

 以前は地球物理やプラズマを勉強していました。その分野ではデータのとり方が確立されており、学ぶことに楽しさを見いだせず、より未知の領域が残されていた植物の世界へと進みました。何を研究するかを自ら選択し、自分で何かを作り上げていくことに醍醐味を感じています。2000年代以降、急速に進んできた遺伝子やゲノムの分野はさらなる進化が予想されており、これから植物を学ぶ学生たちには大きな可能性が残されています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

食品会社研究員/環境分析会社研究員/ソフトウエア開発会社システムエンジニア

大学アイコン
青木 考 先生がいらっしゃる
大阪府立大学に関心を持ったら

 公立大学法人大阪府立大学は、2005年、大阪府立大学・大阪女子大学・大阪府立看護大学の3大学が統合してスタートしました。
 そして2012年、公立大学法人大阪府立大学は「国際・多様・融合」をキーワードに、7学部28学科から4学域13学類体制にカリキュラムを再整備しました。加えて、大学院7研究科も19専攻から21専攻へと、研究分野をより充実させます。
 広大な敷地と最新の設備を整え、恵まれた教育・研究環境を学生の皆さんに提供し、高度研究型の総合大学として人材育成に努めています。

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