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講義No.08862

財政学が読み解く少子化問題

「どう協力するか」を考えるのが財政学

 財政学の根本は、社会において「それぞれが自由に行動したのではうまくいかない問題をどう協力して解決していくか」にあります。制度やルールに必要な予算がどのように確保され、使われているかを理解することは、社会を検証し未来を予測したり、政策をデザインしたりすることにもつながります。さまざまな制度面の不具合が表面化している現代ですが、その問題のひとつが「子育て」です。

なぜ、子どもを産み育てるのが難しくなったのか

 1990年代に社会問題化した出生率の低下ですが、その制度的背景である保育所の不足は1970年代からすでに存在していました。核家族化が進み家族の在り方が変化すると、従来のように親族と隣近所で協力して子どもたちを育てることが難しくなったのです。第2次ベビーブームが終わって1980年代に入ると、保育所の整備が喫緊の課題ではなくなりました。保育所を運営する補助金が減額され、徐々に出生率低下を招く結果となりました。
 もちろん、出生率の低下は先進国共通の課題であり、財政制度のみにその原因を求めることはできません。しかし、財政学的見地から考えると、早い段階で制度的な補完をできなかったことが、現在に続く「子どもを産み育てるのが困難な時代」を生み出した要因と結論づけられます。出生率の低下が示すことは、経済成長や社会保障制度の問題というよりも、我々が「子どもを産む選択がしづらい社会」に生きているということです。経済面や働き方、待機児童の問題など、子どもを育てにくい現実に対する不安が大きな影を落としています。

財政学で社会を読み解く

 政治や経済や社会に必要とされるのは、適切なタイミングで適切にお金を使えるかどうかということです。幼児教育無償化が議論されていますが、取り組み方次第では歴史に残る重要な政策になる可能性もあります。過去の制度や社会状況、海外の事例を検証して、より補完性の高い協力体制をどう構築するかという問題に対して、財政学で社会を読み解くことが求められます。


子どもを産み育てられる社会をめざして

この学問が向いているかも 財政学、社会政策学

岩手大学
人文社会科学部 地域政策課程 准教授
佐藤 一光 先生

メッセージ

 高校生のあなたには、まず「夢」を思い描いてほしいと思います。目標が定まれば、自ずとやるべきことも見えてきます。少し子どもじみていると感じられるかもしれませんが、「夢」を実現した人に対して抱く「かっこいい」「憧れる」という気持ちは何よりの原動力です。あなたもぜひ「憧れ」を抱かれるような人になってほしいと思います。
 今勉強している教科はすべてその「夢」を具現化するためのツールです。自分が本格的に勉強したいことを理解するために必要なものなので、バランスよく学ぶことが大切です。

先生の学問へのきっかけ

 経済学を学ぶきっかけとなったのは、数学者ジョン・ナッシュの半生を描いた映画『ビューティフル・マインド』でした。ノーベル経済学賞も受賞した彼は、経済学だけではなく、社会科学や自然科学で利用されている「ゲーム理論」を発展させました。彼の発見は、「個々人が自由に行動しているとうまくいかない」場合があるという経済理論でした。作中にはその理論を思いつく瞬間が描かれているのですが、そのシーンに感銘を受け、この分野を学ぶ決意を固めたのです。現在は、税金や補助金などを中心に取り扱う財政学の研究を進めています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

官公庁エコノミスト/大学院進学/金融機関営業・投資/コンサルタント/IT企業マーケティング

大学アイコン
佐藤 一光 先生がいらっしゃる
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 岩手大学は、人文社会科学部、教育学部、理工学部、農学部の4学部からなり、文理バランスの取れた総合大学です。
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