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講義No.08049

環境にやさしい「天敵」を使った害虫防除

害虫防除に天敵を活用する方法がある

 農作物に被害を与える害虫を防除するために、天敵を利用する方法があります。天敵を田畑に放して、害虫を捕食してもらおうというものです。といっても、天敵なら何でもよいというわけではありません。天敵には「スペシャリスト」と「ゼネラリスト」がいます。スペシャリストとは、特定の虫だけを食べる天敵です。一方、ゼネラリストは複数の種類の虫を捕食します。

外来種の害虫ならスペシャリストで対応!

 害虫防除に向いているのはスペシャリストです。このタイプは、餌となる虫の匂いを嗅ぎ分けることに優れているとか、捕まえるのに適した形態をしているといったスペシャリストなりの特徴があります。そのため苦労なく捕食します。外来種の害虫を防除するときにはスペシャリストに限ります。外来種を攻撃するスペシャリストであれば、すでに増えてしまった外来害虫だけを見つけ出し、その害虫の数を効果的に減らしてくれます。そして害虫が少なくなると自らも減り、お互い少ないところで数が安定します。
 一方、土着の害虫の場合は、すでにいる天敵を増やすことで対応しますが、逃げてしまったりしてなかなかうまくいかないときがあります。ハウスなど閉鎖空間であれば効果的に利用できます。

天敵による害虫防除のメリットとは

 ゼネラリストの場合は害虫だけを食べるわけではありません。しかも、スペシャリストのように特定の餌を食べるのに優れていないので、害虫防除の効率は悪くなります。また、人間にとって有益な虫を食べたり、農作物を食べたりすることもあります。天敵がスペシャリストかゼネラリストかを見極めることは大変重要なのです。
 天敵による害虫防除は、農薬に比べて安価であることも多く、環境汚染や健康被害の心配がありません。ただし、農薬のように常に効果があるとは限りません。また害虫を根絶するわけではないので、害虫の食べ跡が農作物に残ることもあります。天敵による害虫防除では、生産者と消費者にそれを許せる寛容さが求められるのです。

虫を使って虫を倒す、環境に優しい害虫防除

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害虫とは

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農業に対する害虫の影響

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この学問が向いているかも 農学、昆虫学

九州大学
農学部  准教授
上野 高敏 先生

メッセージ

 「好きこそものの上手なれ」と言います。好きならば、集中して勉強できるし意欲的になれます。高校では、好きな科目だけやればいいというわけにはいきません。ところが、大学では「好きでないとできない勉強」をすることになるのです。ですから、ぜひやりたいことを見つけてください。
 インターネットを利用すれば、いくらでも情報が集まります。しかし、世の中には想定外のこともあります。知らないことにもアンテナを広げてください。いろいろな人の話を意識して聞いてみることも必要です。きっかけを作るのは、あなた自身です。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃から虫が好きで、昆虫学者になろうと思っていました。しかし、昆虫学と一言でいっても、多様な研究があります。私が選んだのは、天敵による害虫防除の研究でした。この分野は、農業の発展に貢献し、世の中の役に立ちます。
 天敵となる昆虫たち、「寄生蜂」や「捕食性の虫」たちがとても不思議な生態や生活史を持っていることを、本などを読んで知っていましたが、実際に天敵を害虫防除に利用するには、害虫や天敵の能力や行動、習性をよく知らなければならず、これは昆虫好きの私にとって興味を駆り立てるものでした。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

民間企業であれば食品会社、化学会社、製薬会社、農協などでの研究員。あるいは官公庁での研究員や各都道府県での農業普及員。

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上野 高敏 先生がいらっしゃる
九州大学に関心を持ったら

 九州大学は、教育においては、世界の人々から支持される高等教育を推進し、広く世界において指導的な役割を果たし活躍する人材を輩出し、世界の発展に貢献することを目指しています。また、研究においては、人類が長きにわたって遂行してきた真理探求とそこに結実した人間的叡知を尊び、これを将来に伝えていきます。さらに、諸々の学問における伝統を基盤として新しい展望を開き、世界に誇り得る先進的な知的成果を産み出してゆくことを自らの使命として定めています。

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