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講義No.07212

天気予報への数理的手法の応用

数値天気予報を支えるナビエ・ストークス方程式

 週間予報など現在の短期天気予報の主流は、数値天気予報と言われ、1.最新の気象データ(風速、風向、気圧、気温、雲の動きなど)の収集、2.大気の動きを記述する数学的モデルの提出、3.1のデータと2の方程式を合わせ、コンピュータを用いて大気の動きを予測する、という方法が用いられています。
 気象現象というのは、大気や雲、海など地球上の流体の動きにより引き起こされる現象なので、予測には流体を記述することができる数学的モデルが必要となります。その最も基礎的な支配方程式として用いられるのが、ナビエ・ストークス方程式という非線型偏微分方程式です。

精度の高まりと同時に方程式の検証も

 微分というのは、いくらでも小さくするという極限操作を通して得られる概念なので、コンピュータではこの方程式をそのまま扱えません。そのため実際には差分方程式に書き換え、さらに単純化したものを高速・大容量のコンピュータにのせて未来時間に向けた計算をさせます。
 現在では、人工衛星の活用による観測データの蓄積やコンピュータ性能の向上により、短期予報の精度はかなり上がり、評価の高い日本の天気予報を支えています。さらに長期的気候変動予測への期待も高まっています。
 一方、数学解析の立場からは、そもそもこの方程式が本当に未来の状態を一意的に決定することができるのか、その考察も同時に進められているのです。

異分野と絡み合いながら実用に貢献

 このように日常的に利用される「週間予報」や「これからの雲の動き」にも、数理的手法が大きく関与しています。気象現象の観測の分野、その結果を方程式など数学の言葉で表すいわゆるモデリングの分野、そして数学解析の分野、それぞれが互いに絡み合いながら、検証や課題の提出、方向性の提示などが行われています。数学は机上で理論を展開するだけでなく、天気予報のような身近で実用的な情報にも大いに役立っているのです。

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この学問が向いているかも 数学、物理学

奈良女子大学
理学部 数物科学科 教授
柳沢 卓 先生

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メッセージ

 あなたは「渦」と聞いて何を思い浮かべますか? ある人は台風の目を、またある人はコーヒーに垂らしたミルクの描く模様を思い浮かべるかもしれません。私は、このような「渦」たちの引き起こす不思議で多様な流体現象に潜む数学的構造を少しでも理解したいと思い研究を進めています。しかし、まだまだわからないことばかりです。未知の分野に挑むためには、柔軟で強靭な思考力が不可欠です。そして何よりも、「これはおもしろい」と思える問題を見つけ出す感受性が重要となります。若いあなたの参加に期待しています。

先生の学問へのきっかけ

 もともと数学や物理に興味があり、論理的に物事を考えることが好きでした。また、「実際の現象を数理的に記述できる」ということを知り、すごくおもしろさを感じたことも覚えています。そういったこともあり、数学の分野に進んだのですが、学問にのめりこむきっかけになったのは、入ったセミナーが先生3人と私ひとりという充実したものだったことだと思います。さらに学部、大学院を通して本を読み、ふらふらになるまで数学について考えた経験も研究の道につながったのだと思います。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

中学・高校の教員/官公庁や製造・通信・金融・IT企業の研究職・技術職/大学教員

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柳沢 卓 先生がいらっしゃる
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