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講義No.06479

知っている話をもう一度見直してみよう~児童文学のリテラシー~

本当は難しい児童文学の世界

 昔話や絵本、国語教科書を通して、誰もが児童文学体験を有していますが、児童文学ならではの特徴を押さえないと表面的な理解にとどまってしまいます。では、児童文学作品を解釈するためのリテラシーとは、どのようなものなのでしょうか。子ども観の歴史やビジュアル・イメージなどの視点から、児童文学の世界をひもといてみましょう。

『桃太郎』のあらすじは?

 あなたが知っている『桃太郎』はどんなあらすじですか。実は、桃を食べて若返った老夫婦から桃太郎が産まれる話が江戸時代にはポピュラーでした。このような性を匂わせる『桃太郎』は、子ども向きではないと思われた人もいることでしょう。しかしながら、「子どもの本はこうあるべきだ」などの児童文学をめぐる「常識」は、不変でもなければ普遍でもありません。そこで必要なのは、わたしたちが自分自身の児童文学観を問い直すということです。そうすることで、これまで親しんできた物語たちはいつもと別の顔を見せてくれるのです。

ビジュアルにも注目

 大人向けの文学に比べ、絵本に限らず、児童文学は挿絵などのビジュアルをともなうことが少なくありません。先に取り上げた桃太郎は、現代の子どもたちが読んでいる絵本では、かわいらしく、幼く描かれていることが多いですが、明治時代に再話された作品では若武者の姿で描かれているものもあります。それぞれの時代で支配的な子ども観のもとで、さまざまな桃太郎像が描かれているのです。
 さらに、イラストの構図にも注意が必要です。小学校の国語教科書には、レオ・レオニの『スイミー』のように絵本を原作とした物語が掲載されています。ここで注目したいのは、絵本では左開きが多いのに対して、教科書は右開きとなっているという点です。このことは、わたしたちの物語理解に影響を及ぼしています。
 児童文学作品をめぐる時代背景やメディアとしての性格を踏まえながら、これまで読んだことのある作品を読み直すことで、ひと味違った読書体験ができるのです。


この学問が向いているかも 児童文学、歴史社会学

神戸大学
発達科学部 人間形成学科 准教授
目黒 強 先生

先生の著書
メッセージ

 あなたは、世の中で「常識」「正論」とされていることを、あまり疑うことなく受け入れていませんか?
 例えば、子どもは「かわいらしい」、小説を読むことは「よいことである」、テレビゲームは「有害である」、本当にそうでしょうか。人は自分が一度理解したことを正しいと思い込みがちですが、時代によって、見る視点によって、当然評価や位置づけは変わってきます。学問を通して、これまでの常識について、一度立ち止まって考え直してみましょう。

先生の学問へのきっかけ

 はじめは小学校の教員になりたくて、大学で初等免許が取れる学部に入学しました。そこで児童文学の奥深さを知り、もっと勉強したいと考え大学院に進学しました。当時は、研究者をめざしていたわけではなく、高校の国語教員になるのだろうと考えていました。その後、研究活動を続けていく中で、研究者や児童文学の作家、評論家の方々との出会いに恵まれ、次第に研究者を志望するようになりました。

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目黒 強 先生がいらっしゃる
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 また、神戸大学では、人文・人間系、社会系、自然系、生命・医学系のいずれの学術分野においても世界トップレベルの学術研究を推進すると共に、世界に開かれた国際都市神戸に立地する大学として、 国際的で先端的な研究・教育の拠点になることを目指します。

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