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講義No.05296

グローバル化に揺れる中央シベリアの少数民族

トナカイと共に暮らすエヴェンキ人

 トナカイと言えばサンタクロースを連想させますが、北欧ノルウェーにはトナカイを放牧して暮らすサーミ人がいます。アラスカではトナカイはカリブーと呼ばれ、狩猟の対象となっています。
 そしてロシアの中央シベリアでは、少数民族のエヴェンキ人が家畜化したトナカイと野生のトナカイを使い分けて暮らしています。トナカイはおとなしい動物で、主にコケ類をエサとします。エヴェンキ人はトナカイを引き連れて広い範囲を移動し、自然環境をうまく利用しながら生活しています。

厳しい寒さに耐える知恵

 中央シベリアは内陸にあるため、大陸性気候で夏冬の温度差が大きくなります。冬の寒さは特に厳しく、マイナス25度前後、時にはマイナス50度にまで下がります。極寒の地で暮らすエヴェンキ人たちの体は、寒さに耐えられるように進化しているのかといえば、もしかすると日本人より寒さに弱いかもしれません。厳しい自然環境の中で暮らしていけるのは、トナカイをうまく活用しているからなのです。服や靴はトナカイの皮で作られ、チュムと呼ばれる住居も外側をトナカイの皮で覆います。中で焚き火を燃やせば気温は20度ぐらいに保たれ、とても暖かいのです。

グローバル化が破壊する伝統的な生活

 近年、そんなエヴェンキ人の暮らしが、グローバル化によって大きく揺れています。その原因の一つは天然ガスです。シベリアに埋もれている天然ガスを掘り出して各地に運ぶ巨大なパイプラインが建設中で、パイプを通すためにトナカイの放牧地が壊されているのです。一本のパイプを通すために、パイプに沿って幅300メートルぐらいの森林が伐採されてしまいます。
 また、パイプ建設のために臨時の街が作られ、移民が入ってくることで生態系も大きく変化します。環境破壊の結果、トナカイが食べるエサが減り、従来の生活が成り立たなくなるケースが出てきているのです。自然、動物、人間のかかわりを注意深く考える時期にきています。

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この学問が向いているかも 文化人類学、生態人類学

大阪大学
グローバルイニシアティブ・センター  准教授
思 沁夫 先生

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メッセージ

 私は内モンゴルの大草原で、遊牧民の一人として育ちました。遊牧民の暮らしで何より大切なのはリズム感です。リズムは人により、また文化によっても異なるものです。あなたも、ぜひ自分なりのリズム感を見つけて、それを大切にしてください。そして自分だけのドラマ、物語のある人生を歩んでほしいと思います。人は個性を生かすほど幸せになることができますし、自分の力をより発揮することもできます。ぜひ自分の物語を生きてください。
 また毎日勉強に励むあなたには、一日一回大きく笑うことをお薦めします。

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