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講義No.05228

アメリカの「アファーマティブ・アクション」をめぐる議論

「平等」をうたった独立宣言

 1776年に採択されたアメリカ独立宣言には、「すべての人間は平等につくられており」という一節があります。当時のヨーロッパは身分社会だったので、この一節はとても革命的なのですが、起草したトマス・ジェファソンや初代大統領ジョージ・ワシントンは奴隷を所有していました。
 つまり、当時のアメリカには不平等が存在していたにもかかわらず、すべての人間は平等だと宣言したのです。このことで、不平等を是正しようと訴える人が増えていきます。それは黒人や女性、移民と彼らに共感する人でした。

「アファーマティブ・アクション」とは

 1960年代まで、アメリカ社会には露骨な人種差別がありましたが、差別撤廃を求める運動で差別政策は廃止される方向に向かいました。その動きはさらに進み、差別をなくすだけでは不十分だとする考え方が出てきました。
 それが「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」という制度です。例えば大学入学の際、同じような学力ならば白人よりも黒人など少数派を優先して入れるという制度です。ところが、この制度のために希望する大学に入れなかったと考える白人が、逆差別だとして裁判に訴える問題も起こっています。

平等とアメリカ社会

 上記のような不満を持つ白人が出てくるのもうなずけますし、「この制度を続けなくてはならないほど、今のアメリカには人種問題がある」と考える人もいます。また、多様な人種を教育することで、彼らが「少数派のために働ける社会」を主導することができるという考え方もあります。
 そうはいっても、逆差別される立場に立ってしまったら、いくら社会全体の利益のためとはいえ自分のやりたいことができないのは不満でしょう。このようにして1970年代からずっと議論は続いています。
 「平等」とは簡単なようで難しい問題です。独立宣言で平等を言わなければこうした動きはなかったかもしれません。皮肉なようですが、そこがアメリカ社会のおもしろさでもあります。

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この学問が向いているかも 地域研究、歴史学、アメリカ研究

東京大学
教養学部 地域文化研究学科 教授
西崎 文子 先生

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メッセージ

 高校生のあなたには、「何事も自分の頭で考える」ための基礎づくりをしてほしいです。そのためには、何と言っても本を読むことです。時には、少しとっつきにくいくらいの難しい本を読んでください。小説でも、歴史でも、本を読むことを通じて知識を増やしてください。そうやって得た知識は、あなたの世界を広げ、想像力を鍛えることにつながります。
 受験勉強は大変ですが、そこで得た知識も、あなたの世界を広げてくれます。息抜きをしたり、ぼーっと遠くを眺めたりしながらも、一日一日が次につながるような毎日を送ってください。

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