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講義No.11525

小児がんの子どもの食生活をサポートする重要性とは?

化学療法を受ける機会が多い小児がん

 小児がんは、特定の病気名ではなく、主に15歳未満の子どもがかかる、さまざまながんの総称です。最も多いのが白血病、次いで脳腫瘍で、これらの治療ではがん化学療法(抗がん剤)を行います。がん化学療法を使った治療を受けた子どもは、吐き気や便秘、下痢、味覚変化、口内炎などさまざまな副作用に悩まされる可能性があります。こうした治療を受けながらも、日々成長していく子どもたちに対して、食事などの生活支援をどのように行っていけばよいのでしょうか。

入院中の子どもや家族が抱える食の悩み

 小児がんで入院中の子どもたちの食事の実態を調べようと、2008年、全国の病院に対して調査が行われました。約130病棟からの回答を分析した結果、約1割の病棟でがん化学療法に対応した食事を提供していることがわかりました。そのほかは大人と同様の食事を出している施設が多く、副作用に悩む子どもたちにとっては厳しい状況でした。
 さらに、2013年に小児がん経験者やその家族を対象に行われた調査でも、入院中の食生活などの問題が浮き彫りになりました。「焼き魚や煮物など大人用の病院食の量を減らしただけで、食欲が湧かなかった」といった不満や、家族が子どもの希望で栄養バランスを度外視したジャンクフードなどを持ち込んでいた実態が見えてきたのです。退院後、「やせすぎて筋力が低下した」「薬の副作用で見た目が変わって学校に行きにくくなった」など、日常生活に影響があったことも明らかになりました。

退院後の生活を考えた食事支援

 治療中は、食欲の減退や増進という変化に子どもと家族が主体的に取り組む必要があります。こうした調査結果を受けて、子ども自身が治療中の食事や症状について知り、子ども自らが設定した食生活の目標達成に取り組むことを支援するプログラムも開発されています。小児がんの治療は進歩し、白血病は7~8割が生存できる時代になりました。退院後の生活を視野に入れた食事を含めた生活支援は、ますます重要になっています。

参考資料
1:がん化学療法中の食事・栄養の実態調査
2:小児がん経験者と家族の食生活体験とニーズ

この学問が向いているかも 看護学、小児看護学

関東学院大学
看護学部  教授
永田 真弓 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 看護学は病気に特化していると思われがちですが、学問の領域はもっと幅広いです。例えば小児看護学では、病気や障がいがある子どもだけでなく、健康な子どもの発達の特徴なども学びます。
 最近では、ICT(情報通信技術)化が進み、スマートフォンを持つ子どもが増えました。それにより、学童期や思春期のネット依存症など、インターネットが健康な子どもに与える影響について教えることもあります。看護師をめざす人はもちろん、子どもに興味がある人も看護学部を選択肢の1つとして考えてみてはどうでしょうか。

先生の学問へのきっかけ

 高校時代、資格を取って働く医療職に興味を持ち、大学は看護学部に進学しました。3年生の小児看護実習で担当した子どもが、身長が伸びたり、院内学級で社会性を身につけたりと、治療を受ける中でも成長する姿を見ました。そこで、病気だけでなく健康な部分にも働きかける小児看護に興味を持ったのです。大学卒業後は乳児病棟で働いていましたが、大学の恩師の勧めで研究の世界に飛び込みました。小児がんの子どもの食事や運動支援など現場で感じた課題について研究し、役立つ成果を挙げることにやりがいを感じています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

看護師/助産師/医療機関(大学病院、総合病院、小児専門病院)/福祉施設(重症心身障害児者施設、保育所)/訪問看護指定所(訪問看護ステーション)

大学アイコン
永田 真弓 先生がいらっしゃる
関東学院大学に関心を持ったら

 1884年(明治17年)、関東学院は横浜山手に神学校として創立されました。長い歴史と伝統をもつ関東学院はキリスト教の優れた思想、芸術、奉仕の精神を礎に、校訓「人になれ 奉仕せよ」のもと広く世の中に貢献できる学問・知識を身につけた有能な人材の育成を目指してきました。現在では、文理にわたる学部を擁する総合大学へと発展。伝統に裏打ちされたキャンパスライフサポート、学修サポート、キャリアサポートの3つのサポート体制で学生一人一人に合わせた支援をこれからも行っていきます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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