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講義No.11521

日本の海は冷たくなってきている? 化石でわかる海洋環境変動

プランクトンの化石から海の環境を探る

 化石を調査し、海洋環境変動を探る研究が行われています。地層に含まれる化石を調べると、その生物が生存していた時代の環境を知ることができます。例えば放散虫(ほうさんちゅう)の化石です。放散虫はプランクトンの一種で世界中の海に生息し、さらに種類が細かく分かれています。古い時代から生息しており、球形、円盤状、らせん状、タケノコ型など環境によってさまざまな形や大きさに進化してきました。そのため放散虫の種類から地層ができた時代を突き止め、過去の海洋環境変動を知ることが可能です。

日本近海は寒冷化している?

 この研究が進み、日本周辺や北太平洋では過去にさかのぼるほど水温が高くなることが明らかになりました。研究対象となったのは1600万年前までの時代です。いくつかの年代に分けて水温を比較した結果、1600万年前の海が最も温かかったことがわかりました。山形県周辺の海も、1600万年前は現在の九州南部や沖縄の海と同じくらいの水温でした。つまり長い目で見ると、現在にかけて海は寒冷化してきたといえるのです。
 ただし海の水温は常に一定の速度で変化しているわけではありません。あるときは急に低くなり、あるときは水温が変わらないなど、変化には波が見られます。また、日本周辺の海洋環境は、離れた場所の気候が変化したときにも影響を受けたと考えられています。例えば南極で氷河が大規模に発達した時期は、遠く離れた日本の海でも水温が下がった可能性があります。

温かいと放散虫の種類が多くなる?

 海の環境が変わると、放散虫の多様性にも変化が見られます。水温が高いときは種類が多く、低くなると種類が減っていく傾向があるとわかってきました。多様性が変化する直接的な理由は明らかになっていないため、さらに分析が必要です。また、この放散虫の変化はまだ北太平洋の一部海域でしか確認されていないため、世界的な傾向を知るために調査範囲を広げることも求められています。


この学問が向いているかも 地球環境学

山形大学
理学部 理学科 地球科学コースカリキュラム 教授
本山 功 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 大学では、あなたの「好き」を突き詰めてほしいです。もし、好きなものがわからない、将来の方向性が見えない、と悩んでいるとしても、高校生のうちからあまり深刻に考えなくてもいいと思います。
 大学でさまざまな先生や友人と接していると、自分の波長に合うテーマや目標が自然と見つかっていくはずです。特に気の合う友人をつくることは大切だと思います。授業のわからない部分や悩みなどを相談できる相手がいれば、すべてをあなた一人で抱え込まなくても大丈夫です。ぜひ希望を持って大学にきてください。

先生の学問へのきっかけ

 幼稚園の頃からアトリエに通って絵を描いていました。アトリエの先生がライフワークとして阿蘇の火山を描いていたことや、スケッチ旅行で山や川に行く機会が多かったことから、次第に環境への関心が高まりました。特に地震や火山に興味を持ったため、大学では地学を専攻。フィールドで地層や化石の調査をすることに楽しさを感じ、研究の道に進みました。地球環境を知るうえで手がかりになるものはなんでも研究したいと思っており、現在は放散虫のようなプランクトンや、アンモナイトの化石などを調べています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

地質・建設・環境コンサルタント技術職/鉱山会社技術職/官公庁森林環境/大学事務職員/電機メーカー技術職

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本山 功 先生がいらっしゃる
山形大学に関心を持ったら

 山形大学は、東日本有数の総合大学であり、4つのキャンパスはネットワークで融合されています。社会のリーダーにふさわしい基本能力と幅広い教養を身につけるため、教養教育に力を入れています。大学運営の基本方針として、一つは、何よりも学生を大切にして、学生が主役となる大学創りをするということ、そしてもう一つは、教育、特に教養教育を充実させるという2点を掲げています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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