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講義No.11519

地球のエネルギーの流れを解析して、温暖化対策に役立てる

日本人が編み出した気候変動予測モデル

 地球は日々、太陽からエネルギーを受け取る一方で、大気中に熱としてエネルギーを放出しています。このエネルギーの受け取りと放出のバランスで、気候に変化が生じています。このメカニズムは、2021年にノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎博士が50年以上前に数値モデルでシミュレーションし、二酸化炭素が増えると地球温暖化につながることが証明されました。当時と比べてコンピュータが格段に進歩した現在では、より詳細な気候変動についてのシミュレーションが可能になっています。

波長によって性質が変わるエネルギー

 太陽からのエネルギーは、可視光線、紫外線、近赤外線の3つに大別されます。可視光線とはその名のとおり目に見える通常の光のことで、太陽のエネルギーの半分程度を占めており、大気にあまり吸収されずに地表まで届きます。紫外線は波長によって性質が異なり、日焼けの原因だけでなく、人体内部に浸透して遺伝子にまで影響を及ぼしますが、大気中のオゾンによってほとんどが吸収されます。地球から射出されるエネルギーは赤外線であり、大気中の水蒸気や二酸化炭素によって吸収され、再び射出されるメカニズムによって地球が温められています。

今後のキーはエアロゾルのシミュレーション

 気候変動には大気中の微粒子である「エアロゾル」も大きな影響を与えています。水や氷粒以外の微粒子をエアロゾルと呼び、ニュースなどでよく聞くPM2.5とは、直径2.5マイクロメートル以下のエアロゾルのことです。エアロゾルによる影響は種類によって異なり、例えば森林火災などで発生する黒いエアロゾルは太陽光を吸収して大気を暖める性質を持ちますが、排気ガスから化学反応して生じる白いエアロゾルは太陽光を反射して大気を冷す性質を持ちます。また、雲の中に入り込むと雲の性質にも影響を与え、冷却の効果を持ちます。今後、研究が進みエアロゾルの動きをより正確にシミュレーションできるようになれば、より精度の高い気候変動の予測が可能になるでしょう。


この学問が向いているかも 大気環境物理学、気象学、環境学

東京海洋大学
海洋工学部 海洋電子機械工学科 准教授
関口 美保 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 高校時代を思いっきり楽しんでください。3年間はあっという間に過ぎ去ってしまいます。高校で学んだことが将来の自分を作る基礎になるので、興味を持った分野を自由に掘り下げてください。
 もし気象の研究に興味があるなら、物理と数学が大事なので、今のうちに基礎をしっかり学んでおいてください。もうひとつ大事なのは英語です。日本は大気放射の研究が少ないため、必然的に海外の論文をたくさん読む必要が出てきます。地味な研究ですが、温暖化研究の基礎となる、非常にやり甲斐のある分野と言えるでしょう。

先生の学問へのきっかけ

 「なぜ空には雲が浮いていて、虹ができるのか?」子どもの頃から、最も身近な自然である天気に興味がありました。気象学を本格的に学ぶようになったのは大学院に進学してからです。気象学の中には様々な分野がありますが、大気の流れや実際の現象を研究する分野が多い中で、大気中のエネルギーの流れを研究する分野があると知り、当時話題になり始めていた地球温暖化と関係があることから興味を持ち、指導教員に誘われてその分野に飛び込みました。それ以来、現在に至るまで同じテーマで研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

衛星データサービス/気象情報会社

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関口 美保 先生がいらっしゃる
東京海洋大学に関心を持ったら

 東京海洋大学は、全国で唯一の海洋にかかわる専門大学です。2大学の統合により新しい学問領域を広げ、海を中心とした最先端の研究を行っています。海洋の活用・保全に係る科学技術の向上に資するため、海洋を巡る理学的・工学的・農学的・社会科学的・人文科学的諸科学を教授するとともに、これらに係わる諸技術の開発に必要な基礎的・応用的教育研究を行うことを理念に掲げています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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