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講義No.11518

体外受精から体内受精へ 両生類の進化に隠された生存戦略

進化とともに受精も変化

 脊椎動物には、長い歴史の中で受精様式が変化してきたものがいます。生物学の研究によって、両生類の進化と受精様式の変化は関係が深いことがわかってきました。両生類は、受精様式の変化に応じて精子の形状が進化してきたと考えられています。そこで、体外受精をしている両生類と、メスの体内で受精をする両生類を比較しながら受精様式が進化したプロセスや体のメカニズムなどが研究されています。

体内受精の利点とは?

 体内受精ならではのメリットは、オスから精子を受け取ってしまえば、メス単体で時期を調整した受精ができることです。体内受精をする動物は、メスが体の中で精子を一定の期間貯蔵しています。哺乳類でも数日間、両生類の場合は実に数カ月間も貯蔵するものが多く見られます。そのためオスから精子を受け取ったメスは、すぐに受精をする必要がありません。子作りに適した気候や場所などを選んで、より確実に子孫を残すことが可能になったのです。しかし精子は時間がたつにつれて劣化してしまいます。それを防ぐために、体内受精をする動物はなんらかの貯蔵メカニズムを持っています。

精子を劣化させない工夫を探る

 精子を劣化させずに貯蔵するメカニズムを探るため、両生類のアカハライモリを対象に、受精に関係した遺伝子やタンパク質の分析が行われています。遺伝子の分析では、「次世代シーケンサー」という技術が用いられています。この技術で遺伝子の情報を解読し、受精にどのように関係しているのか調査が行われました。また、受精に使われるタンパク質を分解し、アミノ酸配列の解読も行われています。
 その結果、アカハライモリのメスが精子を貯蔵する場所の細胞からは、精子を劣化させない成分が出ている可能性が高いことがわかってきました。これは哺乳類や鳥類とは異なる貯蔵方法です。その成分の詳細などを明らかにするためにも、さらなる研究が求められています。


この学問が向いているかも 生物学、進化学

山形大学
理学部 理学科 生物学コースカリキュラム 教授
渡辺 明彦 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 研究活動に取り組んでいる高校生と交流したとき、だれもがとても楽しそうな表情をしていました。興味のあるテーマに対して「楽しい」「おもしろい」と感じる気持ちは大学に来ても大事にしてほしいと思います。そうした感情は学びへのモチベーションにつながるので、実験や観察にもいっそう身が入るはずです。
 また、新たな発見に興味がある人は、特に研究の世界に向いていると思います。あなたと一緒にさらにレベルアップした研究ができることを楽しみにしています。ぜひ山形大学に来てください。

先生の学問へのきっかけ

 高校生の頃にバイオテクノロジーが注目され始め、興味を抱きました。その後、大学で知った発生生物学におもしろさを感じ、特に手足の指の配置をつかさどるしくみには魅了されました。当たり前だと思っていたことにも理由が存在しているのだと気づき、生物の研究を続けたいと思ったのです。
 現在研究している生物の受精は、本学での共同研究をきっかけに興味を持ちました。精子の形が変化した背景や、精子の運動をコントロールする仕組みの進化を解き明かすことが目標です。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

教諭(高校)/食品会社研究員/官公庁専門職/製薬会社品質管理

大学アイコン
渡辺 明彦 先生がいらっしゃる
山形大学に関心を持ったら

 山形大学は、東日本有数の総合大学であり、4つのキャンパスはネットワークで融合されています。社会のリーダーにふさわしい基本能力と幅広い教養を身につけるため、教養教育に力を入れています。大学運営の基本方針として、一つは、何よりも学生を大切にして、学生が主役となる大学創りをするということ、そしてもう一つは、教育、特に教養教育を充実させるという2点を掲げています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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