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講義No.11515

新たな電池の材料になる? 身近で謎だらけなガラスの世界

ガラスの構造は謎だらけ

 固体の中には「アモルファス」と呼ばれる不規則な構造を持ったものが存在します。例えばガラスです。ガラスは成分の種類や割合、製造方法の工夫により、色や硬さ、溶ける温度などが変化します。しかし自在に硬さを変える方法やガラスになりやすい材料の特徴など、科学的に解明されていないことも多いです。
 最近の研究では強力なX線を使った分析でガラス内に存在する原子のつながりの特徴がわかってきました。ガラスの内部では原子がリング状につながっています。ガラスになりやすい材料で製造すると、原子が大小さまざまなサイズのリングを作りますが、ガラスになりにくい材料では、小さめのリングだけになる傾向にあります。この特徴を制御することができれば、ガラスになりにくい材料でも簡単にガラスにすることができたり、これまでにない新しい機能を持つガラス材料を作製できたりするかもしれません。

電気を流すガラスがある!

 ガラスの中には電気を流すものも存在します。例えばカルコゲンとハロゲンという2種類の元素が入った、カルコハライドガラスです。もし電池の材料として応用できれば、液漏れをしない全固体の電池を開発できるかもしれません。
 全固体電池は自動車業界や医療現場などさまざまな分野で必要とされています。現在の溶液系電池で起こる液漏れによる発火事故や健康被害を防ぐためです。より安全な電池を作るためにも、ガラスの構造を分析する基礎研究が求められています。

ガラス電池開発の課題

 ガラスで電池を作るためには、溶液系電池に劣らないエネルギー量を実現しなければなりません。そのためにはガラスの中を流れるイオンの数量を増やすか、イオンの移動速度を上げる必要があります。イオンの量を大幅に増やすことは困難ですが、速度は「移動度」と呼ばれるイオンの動きやすさを上げることでどこまでも速くできる可能性があります。ガラスのようなアモルファスな構造の中では移動度が上がることがわかっていますが、移動度がけた違いに上がる理由などはまだ研究の途中です。


この学問が向いているかも 物性物理化学

山形大学
理学部 理学科 化学コースカリキュラム 教授
臼杵 毅 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 あなたに本当に好きなことがあれば、文理選択に関係なく取り組んでいいと思います。好きなものがわからなければ、まずはさまざまなものや場所を見たり、体験してみるといいでしょう。
 大学では自分で時間割を組み立てることができますし、学問や研究の楽しさも実感できると思います。勉強するうちに世の中で役立つスキルも身につくので、卒業後の進路は気にしすぎないでほしいです。もしかすると周囲から「就職先がないから」と希望する学科を反対されるかもしれませんが、あなたがやりたいことを大切にしてください。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃から物の仕組みに興味があり、ラジオなど身の周りの物を分解しては中身を確かめていました。理科の先生にも恵まれ、特に高校の物理の授業が面白かったため物理教師を志して進学しました。大学でも素晴らしい先生にめぐり合い、液体金属や現在取り組んでいるイオン伝導固体に関する専門知識を教わりました。ガラスの構造には不明点が多く、基礎研究によって謎を解明する余地があります。アモルファスのメカニズムや、ガラス内を移動するイオンの速度を上げる方法を発見することが目標です。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

ガラス関係研究員/化学系研究員/製薬系研究員/IT関連/コンサルタント/自動車分野/金融分野/精密機器/食品関連/公設試験研究機関研究員/国立大学教員/省庁/県庁市役所/教諭(高校)

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臼杵 毅 先生がいらっしゃる
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 山形大学は、東日本有数の総合大学であり、4つのキャンパスはネットワークで融合されています。社会のリーダーにふさわしい基本能力と幅広い教養を身につけるため、教養教育に力を入れています。大学運営の基本方針として、一つは、何よりも学生を大切にして、学生が主役となる大学創りをするということ、そしてもう一つは、教育、特に教養教育を充実させるという2点を掲げています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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