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講義No.11509

日本語の獲得と英語の習得 人の言語機能に隠された不思議

生まれたばかりの頃はどんな言語も簡単?

 人間は、生まれたばかりの頃は、どんな言語であっても、人間の言語(自然言語)ならば獲得できます。幼児期に接する言葉は、質・量ともに貧弱で偏りがあるにも関わらず、ごく短期間に、その言語の文法を獲得していきます。獲得される文法は、接した言語データからだけでは説明できない豊かなものです。これは人間の脳内にある言語機能が働いているため、と考えられています。

言語獲得の不思議

 「猫がネズミを追いかける」と「ネズミが猫に追いかけられる」は同じ状況を表していますが、3歳頃の子どもは、前者は理解できても後者の文理解は難しく、これが5~6歳になると、育ちの環境等に関わらず一律に理解できるようになっていきます。
 また、「太郎は花子に自分のバイオリンを渡した」と言うとき、「自分」が指すものは「太郎」ですが、「太郎は花子に自分のバイオリンを弾かせた」と言う時、「自分」が指すものは「太郎」とも「花子」とも解釈できます。日本語母語話者なら、誰に教えられることもなく、この事実を理解できます。
 これらのような言語現象は、日本語に限らず、様々な自然言語で観察されます。一見、当たり前に思える物事の背後には、ある種のメカニズムが人間の脳の中で働いています。現代の言語学は、そのメカニズムがどのようになっているのかを探究しています。

違いを意識した英語教育

 英語を習得する際の効果的な方法の一つに、母語(日本語)との相違点を意識して学ぶ方法があります。英語は日本語と違い、母音の数が日本語の5倍程度あり、母音と中心とした音のまとまりに強弱アクセントが付き、弱いところは、曖昧な音で発話されます。そして結論部が文末にくる日本語に対し、英語では、文の骨子(主-述部)が最初に送られてきます。これらの違いを意識してシャドーイング等の練習を行い、英語の感覚を身に付けることで、リスニングやスピーキング力を効果的に上げることが期待されています。


この学問が向いているかも 言語学、理論言語学

筑波技術大学
障害者高等教育研究支援センター 障害者基礎教育研究部(視覚障害系) 講師
小林 ゆきの 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 「おもしろい!」と関心を持てる対象や好きなことを見つけ、思いきり探求してみてください。強い関心を持って学んだことは、すぐには役に立たなくても、人生の思いがけない場面であなたの力になってくれます。
 大学は全国から人が集まってくるので、生涯の宝になる出会いもあります。多様な考えに触れ、また自分と同じ関心を持つ人とも出会える場です。アカデミックな環境の中で視野を広げ、自分の興味を探求し、互いに尊重し合いながら大きく成長していってください。

先生の学問へのきっかけ

 もともと哲学や精神医学等、人間の思考に興味がありました。学生時代、私自身が悩み、考える中で、人間の思考というものが、何語で考えるかに関わらず、ある種の「言葉の縛り」を受けている、ということに気づきました。そこで言葉が持つ共通の「縛り」が何かを知りたいと図書館に駆け込み、本を貪るように読んでいたところ、言語学者のN. Chomskyという人に辿り着きました。少し遠回りはしましたが、学部・大学院で理論言語学を学び、情熱を持って真理を探求する師や仲間に出会えたことは、幸運だったと思っています。

大学アイコン
小林 ゆきの 先生がいらっしゃる
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 本学は、聴覚障がい者、視覚障がい者のための唯一の国立大学です。学生の障がいや個性に配慮しつつ、障がいを補償した教育を通じて、社会的自立と社会貢献のできる人材を育成しています。
 その結果、毎年100%近い就職率を達成し、成果をあげています。
 本学に興味をお持ちの方は、大学説明会、オープンキャンパス、授業見学会などさまざまなイベントを実施していますので、是非一度、ご参加ください。
 詳しくは大学ホームページをご覧ください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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