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講義No.11503

視覚障がい者の首への負担を軽減するために

首への負担は幼稚園児の体重分

 スマートフォンの画面を見るとき、多くの人は首を下に傾けます。アメリカの医師、ケネス・ハンスラージによる研究で、頭の重量が約5kgある人が首を30度下に傾けると首の周りに約18kgの負担がかかることが明らかになりました。これは幼稚園児の体重とほぼ同じ重さで、首の曲がる角度が大きければ、さらに負担も増えます。
 特に視覚障がいのある人は首をかなり下に傾けて文字を読み書きする機会が多く、首の負担が大きい可能性があります。日本人は80歳以上のほぼ全員が白内障になり目が見えにくくなるといわれているため、視力障がいのない晴眼者(せいがんしゃ)にとっても無関係ではありません。

視覚障がい者の姿勢を測る

 患者の状態を観察して症状を分析する理学療法の観点で、視覚障がい者の姿勢調査が行われました。調査対象は見える範囲が狭くなる視野狭窄(きょうさく)のような視野障がいのある人と、弱視などの視力障がいのある人の中で普段から文字を読み書きしている人です。これらの人は首を傾けがちで体への負担が大きいと考えられます。調査対象者に紙やパソコンなどで文字を読み書きしてもらい、目と文字の距離、姿勢、首の角度などを研究者が計測しました。さらに質問紙などで、姿勢のつらさや首の痛みといった主観的なデータが集められました。

首の傾きが大きい環境は?

 視野障がいのみの人の場合、首を下に傾ける角度は晴眼者とほぼ同じですが、狭い視野のせいで顔や首を横に動かしながら文字を読む傾向があります。また、首や頭の痛みや姿勢のつらさを感じやすいことが明らかになりました。反対に、視力に障がいのある人の場合、机の上に置かれた本やノートパソコンなど首の角度や距離を調整しづらいものを読み書きするときは、首の傾きが晴眼者の倍以上に大きくなっていました。一方でタブレット端末やスマートフォン、デスクトップパソコンなどを使うと首の角度は晴眼者と同程度になりました。作業環境を工夫すれば、首への負担を軽減することはできるのです。


この学問が向いているかも 理学療法学

筑波技術大学
保健科学部 保健学科 講師
中村 直子 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 もしあなたが、勉強が苦手だとしても、将来の目標や強い興味があれば努力して成功することができると思います。仕方なく勉強するのではなく、まずは好きなことや興味のあることを見つけて目標を作ってほしいです。
 そして、理学療法士に興味があるなら、目標にしてもらえるとうれしいです。やってみて合わなければまた別の道を考えてもいいので、一生続けなければ、と重荷に感じる必要はありません。私も何度も迷い諦めそうになりましたが、そのたびに考えて決断したからこそ理学療法士になってよかったと実感しています。

先生の学問へのきっかけ

 高校生の頃、友人の誘いでボランティアサークルに入りました。そこで、福祉や医療の現場では与えるものよりも得るものの方が多いことに気づきました。また、障がいのある子どもが理学療法士と一緒に身体を動かして遊んでいる姿に心を打たれ、「この仕事に就きたい」と思いました。現在は、日常生活で生じる視覚障がい者の頸部への負担を下げるための研究をしています。先行研究が少ないので、まずは障がいの種類や程度に応じた姿勢や首の傾きのデータなどを集めています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

理学療法士/公務員/アスリート

大学アイコン
中村 直子 先生がいらっしゃる
筑波技術大学に関心を持ったら

 本学は、聴覚障がい者、視覚障がい者のための唯一の国立大学です。学生の障がいや個性に配慮しつつ、障がいを補償した教育を通じて、社会的自立と社会貢献のできる人材を育成しています。
 その結果、毎年100%近い就職率を達成し、成果をあげています。
 本学に興味をお持ちの方は、大学説明会、オープンキャンパス、授業見学会などさまざまなイベントを実施していますので、是非一度、ご参加ください。
 詳しくは大学ホームページをご覧ください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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