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講義No.11496

赤潮発生のメカニズムとは? 海の色を左右する植物プランクトン

赤潮発生のきっかけとは

 2021年9月、北海道沿岸でサケやウニが大量死しました。原因として考えられているのが「赤潮」です。一般に赤潮は、海が富栄養化し植物プランクトンが異常に増えると発生します。こうした背景はわかっていますが、富栄養化のきっかけや増殖するプランクトンの種類は事例ごとにさまざまです。
 例えば、天候の変化は赤潮を引き起こすきっかけのひとつです。東京湾では大雨のあとに海が穏やかな晴れの日が続くと赤潮が発生しやすくなります。川から大量に流れ込む水には栄養塩が多く含まれており、流れが穏やかなときは海面付近にたまってなかなか沈みません。すると流れ込んだ栄養塩を使って植物プランクトンが増殖して、赤潮になってしまうのです。

どの種が赤潮を起こすか?

 植物プランクトンの中には、特定の魚や貝と相性が悪いものがおり、そうしたプランクトンが増えると北海道でおきたように、サケやウニなどの大量死を引き起こします。これは赤潮にならない低い密度で増えた場合にもおきることがあります。問題となる赤潮原因プランクトンの増殖しやすい環境、他のプランクトン種との競合などを詳細に調べれば、沢山いるプランクトン種の中から何故、特定の種が赤潮を起こすのか理解が進み、赤潮発達の予測に役立つかも知れません。

海の色に応じて色素を変えるプランクトン

 海は沿岸では緑色に見え、外洋に行くほど青く見えます。この緑と青のコントラストを作り出しているのも植物プランクトンです。ところが、周囲の環境によって色素を変える事が出来るプランクトンもいます。沿岸域では緑色を吸収する色素を作りだしますが、同じプランクトンは、外洋では、青色を吸収する色素を多く持つようになるのです。
 このように植物プランクトンと環境には深い関係があります。また、プランクトンは世代交代が早く、競争や進化などを比較的短期間で調べる事ができます。バケツ一杯の水に生態系が詰まっているので、群集構造の成り立ちなどを調べるモデルとしても注目されています。


この学問が向いているかも 水圏生態学、微生物生態学

東京海洋大学
海洋資源環境学部 海洋環境科学科 准教授
片野 俊也 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 少しでも興味があるものに出会えたなら、一生懸命突き詰めてほしいです。まずは自分なりに調べてみると、それまで気づかなかった魅力や研究テーマが見えてくると思います。
 「興味がわくものが見つからない」と悩んでいる場合は、身の回りで気になったことを調べてみるといいでしょう。それを楽しいと感じる場合もあれば、予想していたよりおもしろくないと感じることもあると思います。しかし、やってみなければわからないことです。取り組む前に断念せず、がむしゃらに挑戦することが大切だと思います。

先生の学問へのきっかけ

 幼い頃から環境問題に関心があり、「山を切り拓いて緑を減らして、みんなが車に乗って生活していたら酸素がなくなってしまう」と思っていました。自然の減少や公害などを知って悲しく感じ、解決策を知りたいと生態学、生物学に興味を持ちました。大学では水をきれいにする微生物について研究したいと思い、海外の湖などで植物プランクトンを調査できる研究室に入りました。同じプランクトンを調査している外国の研究者とは、言語が違ってもわかりあうことができます。こうした点にも魅力を感じ、植物プランクトンの生態研究を始めました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

環境コンサルティング/官公庁(総合職)/地方公務員(水産系研究職など)/水産系食品会社(営業職)/検査会社/物流業

大学アイコン
片野 俊也 先生がいらっしゃる
東京海洋大学に関心を持ったら

 東京海洋大学は、全国で唯一の海洋にかかわる専門大学です。2大学の統合により新しい学問領域を広げ、海を中心とした最先端の研究を行っています。海洋の活用・保全に係る科学技術の向上に資するため、海洋を巡る理学的・工学的・農学的・社会科学的・人文科学的諸科学を教授するとともに、これらに係わる諸技術の開発に必要な基礎的・応用的教育研究を行うことを理念に掲げています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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