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講義No.11490

シャント音をAIで分析して人工透析を安全に進めよう

増えてきた人工透析

 「人工透析」とは、血液をろ過する腎臓機能を、装置によって代替する治療のことです。一時は減るといわれた透析ですが、糖尿病の増加とともに患者数が増え、国内で30万人を超えています。現在の透析では、患者の血液を1分間に200mlぐらいのペースで装置に通し、きれいにして体内に戻します。透析治療を始める前には、動脈と静脈の一部を手術で接続して動脈血を静脈へ直接流す「シャント」というものを作って透析を進めやすくします。

調べるのは意外と大変

 透析治療は1日おきに4時間程度かけて実施し、そのたびにシャント部分に針を刺すので血管が傷んでいきます。血管狭窄(きょうさく)や閉塞(へいそく)のリスクがあるため、医師がシャント部分に聴診器をあててシャント音を聞き、血液が正常に流れているかを調べてきました。ただ、その音は人それぞれ異なるうえに、聴診器のあて方で変わり、その様子を第三者に伝えるのも困難です。
 一番わかりやすいのは血管造影剤を投与して放射線検査することですが、透析患者は腎臓を悪くしていますから、血管造影剤を尿としてうまく排出できないことが多く、何度も放射線検査するには放射線被曝の心配もあります。ほかに超音波装置で血管の様子を調べる方法もありますが、これも装置を肌にあてるにはコツがあり、あて方によって結果が変わるため、かなりの習熟が必要です。そのため今でも聴診器でシャント音を聞いて判断されています。

安全・確実な解析をめざして

 これに対し、電子聴診器を用いてシャント音をコンピュータで解析して画像化することで、誰でも血管の状況を判断できるようにする技術が普及しはじめています。具体的にはシャント部分の肌にセンサをあてて、時間ごとの音の周波数を表示します。音の変化をデータとして記録・蓄積できるのもメリットです。さらに音を人工知能(AI)で判断・評価する機器の開発も盛んです。血管造影よりも簡単で、低リスクであり、聴診器より確実な画像化技術の進化が、これからの人工透析の安全を支えていくのです。


この学問が向いているかも 医用工学

桐蔭横浜大学
医用工学部 臨床工学科 教授
佐藤 敏夫 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 私は若い頃、まさか自分が医療分野を大学で教えるなんて露ほども考えていませんでした。人生、何が起こるかわからないものです。そのうえであなたに伝えたいのは、「今やりたいこと」に全力で取り組んでほしいということです。その場その場で頑張っていると、まわりの人が助けてくれて道が開けるものです。
 あなたには、これから多くの選択する場面があるでしょう。正しい道はわかりません。しかし選んだ以上は努力しなければ後悔しか残りません。信じて突き進めば、きっと「いろいろあったけど自分は正しかった」と思えるはずです。

先生の学問へのきっかけ

 大学卒業後、計測機器メーカーで働いていました。しかし大学に移った先輩から声をかけられて「面白そうだ」と感じ、30代半ばで大学へと籍を移すことにしました。そこで何か新しい分野の研究をすることが必要だと感じ、血液透析研究の第一人者である先生に指導を受けました。そこでは多くの臨床工学技士が活躍していると知り、夜学で勉強して資格を取得し、さらに必要性を感じて医学博士、工学博士の学位も取得しました。その全てが、会社員時代には予想もしなかったことでしたが、現在の仕事に役立っています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学教員/専門学校教員/臨床工学技士/医療機器開発メーカー

大学アイコン
佐藤 敏夫 先生がいらっしゃる
桐蔭横浜大学に関心を持ったら

 本学は1988年に(学)桐蔭学園によって初等、中等教育と並び立つ第2の柱として創設されました。本学の3学部6学科は、いずれも社会的貢献度や専門性の非常に高い分野であることが特徴です。すべての学部において、徹底した少人数教育にこだわり、また「実践型・体験型」のカリキュラムを編成しています。これにより密度が濃く質の高いゼミや講義を受けることができ、実践力が養われます。それぞれの目的や個性に合わせた様々な教育システムを確立しており、海外にも積極的に目を向け、学ぼうとする意欲をあらゆる角度から育みます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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