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講義No.11478

格子点や素数、いくつある? 「数える・見積もる」ことの奥深さ

格子点の個数

 「3億1415万9053個」。よく見ると円周率3.14159265……と数の並びが似ていますね。これは半径1万の円の中にある格子点(座標平面で座標がともに整数である点)の個数です。原点を中心とする半径rの円で、周および内部にある格子点の個数をN(r)とすると、N(r)はだいたいその円の面積S(r)=πr²ぐらいになります。rが1万なら、S(r)は約3億1415万9265です。冒頭の格子点の数との差は212で、かなり小さな差です。数学者はこの見積もりの正確さ、つまりN(r)-S(r)が一般にいかに小さいかを証明しようとしています。

素数の個数

 次は「78498個」。これは100万より小さな素数の個数です。2、3、5、7、11、13、……と続く素数は無数にありますが、どれぐらい多いのでしょうか。18世紀の終わりごろ、「対数積分と呼ばれる関数li(x)が素数の個数を抜群によく近似している」という現象が発見されました。対数積分はxが100万のとき約78751で、冒頭の実際の個数との差は253です。xが100億のときの対数積分の値は約455055614。100億以下の素数は455052511個で、対数積分はこの個数を誤差3000程度で見積もります。

証明?

 しかし、これらは近似がよいことの状況証拠であって、証明は別です。素数の分布が先の方までわかっているわけではありません。例えばずっと先のあるところに妙に偏って素数が現れるかも知れません。x以下の素数の個数をP(x)とします。P(x)とli(x)の差はどの程度まで小さいと言えるのでしょうか。この問いには多くの数学者が挑んでいますが、考え得る完全な解決にはまだまだ遠い状況です。このP(x)-li(x)や、格子点のところであげたN(r)-S(r)を研究するには、複素関数という、変数が複素数の関数を用います。高校で実数変数の関数の微積分を学びますが、大学数学では複素関数の微積分を学びます。不思議なことに、この複素関数の微積分が証明で大活躍するのです。


この学問が向いているかも 数学

神戸大学
理学部 数学科 教授
谷口 隆 先生

先生の著書
メッセージ

 数学者が挑戦している課題は一筋縄で解けるものではなく、証明を考えても99%はうまくいかないものです。でも、難しいからできないと決めてしまったら、思考停止してしまって前に進めません。できなくても、時に諦め悪く、ほかの人としゃべったり、頭の片隅に置いて時々気にしたりしているうちに、何かと何かがつながって、ひょっとしてできるのではないかと思い至ることがあります。そんなとき、何事も、最初からできないと決めてしまうのではなく、できるかもしれないと思い続けることが大切だと感じます。

先生の学問へのきっかけ

 小学生の頃におつかいに行ったとき、170円のパンを買うのに200円を出して、おつりを財布に入れたら10円玉が5枚になっていました。これを50円玉にする方法はないだろうかと考え、220円を渡すことを思いつきました。そうして次の機会で50円玉のおつりを手にできました。また親から「1/3に3を掛けると1になるのに、小数にした0.3333……に3を掛けると0.99999……、なぜでしょう?」と問われて不思議に思ったこともあります。こんなことを考え続けることが、数学の興味へとつながってきたのだと思います。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

研究者/教諭(中学校・高等学校)/保険会社アクチュアリー/都市銀行/地方銀行/大学職員

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谷口 隆 先生がいらっしゃる
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 神戸大学は、国際都市神戸のもつ開放的な環境の中にあって、人間性・創造性・国際性・専門性を高める教育を行っています。
 また、神戸大学では、人文・人間系、社会系、自然系、生命・医学系のいずれの学術分野においても世界トップレベルの学術研究を推進すると共に、世界に開かれた国際都市神戸に立地する大学として、 国際的で先端的な研究・教育の拠点になることを目指します。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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