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講義No.11477

細菌を撃退する「好中球」の必殺技

免疫を担う「好中球」

 免疫とは、ウイルスや細菌が体の中に侵入したとき、それらを外に排除しようとする働きです。免疫は、生まれつき備わっている自然免疫と、一度かかった感染症やワクチン接種により得られる獲得免疫に分類されます。血液中の白血球の中で最も多い細胞である「好中球」は、自然免疫の中心的な役割を担っています。好中球は血液に乗って体の中を流れながら、細菌が侵入していないかを見張っています。

発見し、捕食し、消化し、絡め取る

 好中球は人間のものとは違う構造の細胞を見分けることができるほか、細菌を見つけるとくっつく成分が血液中にあるので、それを目印として細菌を見つけ、即座に食べて処理をします。さらに、食べた細菌を消化する際には、消毒液に使うような過酸化水素水などを作り出して無害化してしまいます。
 しかし、中には好中球に食べられずに逃げる細菌もいます。その場合、好中球は自らの命を犠牲にして、自分の体内にある繊維状のDNAをクモの糸のように噴射し、細菌を絡め取ります。DNAには細菌を排除する酵素などの物質が付着しているので、DNAが絡みついた細菌はそのまま死んでしまいます。好中球の寿命は1日だけで、体の中では新しい好中球が絶えず作られています。ですから、すべての好中球がこの必殺技を使ったとしても、健康な状態であれば一定の好中球の数を保っていられるのです。

好中球の特徴を治療に利用

 この好中球の寿命の短さに着目し、治療への利用が考えられました。血液のがんと呼ばれる白血病は、がん細胞化した白血球が異常増殖することで引き起こされる病気です。もし、がん細胞を好中球に変化させることができれば、1日で死滅してくれるので異常増殖の連鎖を食い止めることができます。そこで、がん細胞と結びついて、その細胞を好中球に変化させる分子標的薬の開発が進められました。その一つに、食べ物などにも含まれているビタミンAの誘導体から、治療薬が製造されています。


この学問が向いているかも 薬学

広島国際大学
薬学部 薬学科 教授
山口 雅史 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 研究の結果は良いことしか発表されませんが、その裏側にはうまくいかなかったことが非常にたくさんあります。はっきり言えば失敗の山です。しかし、失敗しても決してめげずに、失敗の中から何かを見つけ出して、転んでも何かをつかんでから起き上がることが大切です。
 私の場合は人を助けたいという気持ちがモチベーションになっています。そのためには、どんな失敗があってもくじけずに、耐えて、進み続けるつもりです。あなたも、自分がやりたいと思ったことに、ぜひ頑張って突き進んでいってください。

先生の学問へのきっかけ

 高校の頃から理系科目が大好きで、何か新しいことを見つけ出すことに興味を持っていました。その頃、これからの薬剤師の仕事は、単に薬を出すだけでなく、治療方法や新薬の開発にも貢献できるという話を耳にしました。新しいことを生み出して人の役に立てるということ魅力を感じたことから、薬学部への進学を決めました。大学生の頃から白血病などの免疫をテーマにし、卒業後に就職した時も偶然にも白血病のプロジェクトに入って免疫の研究ができました。そして、現在も一途に白血球の研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

病院/製薬メーカー/調剤薬局/ドラッグストア/化粧品・食品メーカー

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山口 雅史 先生がいらっしゃる
広島国際大学に関心を持ったら

 国公私立大 合同進学オンラインイベント「夢ナビライブ2021Web in Autumn」に、山口 雅史 先生が参加! 先生の講義ライブ動画を10月12日(火)までオンデマンド配信するほか、Zoomで先生に直接質問ができる「講義ライブ質問対応・研究室訪問」を10月2日(土)に実施。夢ナビライブは、600名以上の大学教授や200近い大学がさまざまなプログラムを実施する大型オンラインイベントなので、まずは「夢ナビライブ」で検索してください。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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