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講義No.11473

国同士の約束事からSDGsまで 国際社会の未来を担う国際法

国際法は法規範である

 国と国との関係を規律する国際法は、主に、すべての国が守るべき慣習法と、締約国だけが守るべき条約でできています。国内法と同様に、国際法は国家が守らなくてはならない法規範であり、政治的合意ではありません。ただし国内法とは異なり、国家に履行を強制することは必ずしも容易ではありません。法の違反に対して警察や裁判所が強制的に介入できる国内社会とは異なり、国際社会には中央集権的な権力機構が存在しないからです。国際連合は世界政府ではなく、国家が任意に加盟する国際組織であり、国際司法裁判所も紛争当事国が合意しなければ裁判を開けません。

国際法はいかにして守られるのか

 しかし、国際法はよく守られています。そもそも国家は自国の利益になると考えて条約を締結するので、これを破れば自国の不利益につながります。また人権条約や環境条約では、締約国からの条約の実施状況に関する定期報告を受け条約機関が審査するなど、条約の遵守を確保するための仕組みも設けられています。また、国家は一見国際法違反と思われる行為をとった場合、国際法違反ではないとする法的理屈を立てています。

SDGsと国際法

 国際連合は国際社会のほぼすべての国が参加する国際組織であり、SDGs(持続可能な開発目標)は、国際社会が2030年までに達成するべき目標として国連総会で採択されました。貧困や教育、ジェンダー、気候変動、海の豊かさなど、国際社会にとり重要な17の目標を掲げています。国際法は、人権条約・宣言(女性差別撤廃条約、障害者権利条約、国連先住民族権利宣言など)、環境条約(国連気候変動枠組条約、パリ協定、生物多様性条約など)、海洋や漁業資源の利用と保全に関する条約(国連海洋法条約、中西部太平洋マグロ類保存条約など)などを通じて、その実現を制度面で支えています。国家は、これら国際社会の公的利益の実現をめざした国際法を守ることを通じて、SDGsの達成を推進しています。この意味で、国際法はSDGsの達成にとり不可欠なものといえるでしょう。


この学問が向いているかも 国際法学

北海道大学
法学部 法学研究科 教授
児矢野 マリ 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 私が専門とする国際法は、国家間で適用される法規範であり、国際社会の基礎です。異なる政治・経済・社会体制、言語、文化などをもつ相互に対等な主権国家が並存する国際社会において、各国が自律性を維持しつつ、紛争を起こさないよう利害関係を調整し、環境問題など共通の課題を協力して解決するためのツールでもあります。グローバル化した現代社会では、国際社会で起きていることに注意を払い、そこにおける日本の立ち位置と自分の生き方について、多角的に考えること―日本社会や自身の常識・価値観を相対化する視点―が不可欠です。

先生の学問へのきっかけ

 弁護士を志望していましたが、大学で学ぶうちに考えが変わりました。国家の多元性を前提にしつつも国際法が各国の国内法や社会システムを平準化することに、強い関心をもちました。日本にとっては、近代化の始まりは「開国=欧米列強との通商航海条約の締結=国際法の主体となる=国際社会への参加=現代の日本法の基礎にある欧州近代法の導入」であり、女性差別撤廃条約の批准(1985年)により私も含め女性の生き方も劇的に変わりました。国際法は国内社会の変革要因と知り、両者の関係という視点から国際法を研究したくなりました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

国家公務員(外務省も含む)総合職・一般職・専門職/地方公務員/新聞社記者/放送局ディレクター/総合商社・メーカー・金融証券・物流・サービス業などの総合職(法務も含む)/大学研究者/弁護士など

大学アイコン
児矢野 マリ 先生がいらっしゃる
北海道大学に関心を持ったら

 北海道大学は、学士号を授与する日本最初の大学である札幌農学校として1876年に創設されました。初代教頭のクラーク博士が札幌を去る際に学生に残した、「Boys, be ambitious!」は、日本の若者によく知られた言葉で本学のモットーでもあります。また、140余年の歴史の中で教育研究の理念として、「フロンティア精神」、「国際性の涵養」、「全人教育」、「実学の重視」を掲げ、現在、国際的な教育研究の拠点を目指して教職員・学生が一丸となって努力しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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