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講義No.11467

「植物」対「病原菌」の攻防! 植物の免疫システム

植物の免疫システム

 ヒトの体には、外部からウイルスなどの病原菌が侵入してくると、免疫反応が起こり、それを排除する働きがあります。同じように植物にも病原菌を排除するしくみがあり、これを「病害抵抗性」と呼びます。植物は、病原菌からの攻撃を受けると、周囲の組織を厚くして敵の侵入を防いだり、「抗菌性物質」をつくって対抗するのです。この「抗菌性物質」は、病原菌を分解したり、病原菌の増殖を抑制したりする働きがあります。

DNAの遺伝子情報を伝えタンパク質を合成

 植物が周囲の守りを固めたり、「抗菌性物質」をつくるには、タンパク質が重要な役割を果たします。タンパク質はDNAが持つ設計図データに基づいて合成されます。DNA上のデータはまずRNAにコピーされ(「転写」と呼びます)、それを元にタンパク質がつくられます。
 病原菌からの攻撃を受けた植物細胞では、特定の化合物がつくられます。この化合物は、いわば「病原菌がきた!」と知らせる信号です。それが合図となって、まずは免疫反応の活性化に必要な特定の転写因子がつくられます。転写因子はタンパク質の一種であり、免疫反応に直接関わるタンパク質の合成を促します。例えるなら、植物の免疫反応において、化合物は見張り役、転写因子は司令部、その司令によりつくられた「抗菌性物質」などは最前線で戦う兵隊のようなものです。

植物の免疫システムを応用して作物の病害を減らす

 植物の免疫システムをうまく制御すれば、作物の病害を減らす可能性が高まります。例えば、イネに大きな被害をもたらす「いもち病」という病気がありますが、イネの免疫反応に重要な転写因子のはたらきを制御することで、「いもち病」を含むさまざまな病害に対して強いイネの作出が試みられています。
 現状、作物の病害防止という点では農薬にかなうものはありませんが、安全性や環境への影響が問われています。植物の免疫システムを制御することで、農薬を使用量を減らしながら病害を防ぐことが期待されています。


この学問が向いているかも 植物生理学

前橋工科大学
工学部 生物工学科 准教授
中山 明 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 私が高校生のころはインターネットも身近ではなく、情報がありませんでした。でも今はたくさんの情報に恵まれた時代です。ちょっと関心があるなと思ったことは、どんどん調べてみてください。そこに新しい知識や発見があるかもしれません。そして自分が「おもしろい!」と感じた分野で大学を見つけてみるとよいでしょう。
 ついつい偏差値で志望大学を決めがちですが、目的なく漫然と受験するよりも、自分が興味を持って挑むほうが、大学生活がより楽しくなると思います。

先生の学問へのきっかけ

 大学に入学した時は、何となく生物に興味があり、生物の能力を活かして何か役に立つものを作りたいと漠然と考えていました。そして大学での教養課程を経て農学部に進み、植物や動物、微生物などさまざまな対象を扱う中で最終的に植物の研究室に入ったのが最初のきっかけです。植物は、育てるにも実験結果を得るにも時間がかかるうえ、出た結果が思った通りになるとは限りません。でも予想と違う結果が出たときに特に「楽しい」と感じました。得られた結果に「なんで?」と疑問を抱き、それを解明していくのが醍醐味なのです。

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中山 明 先生がいらっしゃる
前橋工科大学に関心を持ったら

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※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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