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講義No.11466

魚の感染症を防がないと、食卓から魚料理が消えるかも!?

人間と同じように魚も「感染症」にかかる?

 人間と同じように、魚類にも病原体(ウイルスや細菌など)による感染症があります。幸い、感染症にかかっている魚を触ったり食べたりしても人間に健康被害が出る心配はありません。しかし魚の生存率が大幅に低下するため、多額のコストをかけている養殖事業者にとっては死活問題です。特に日本の場合、水産物の生産量全体に占める養殖の比率が年々高まっているので、養殖魚の感染症を防ぐ方法の確立を急がなければならないのです。

どうやって感染が広まるの?

 水槽やいけすの中で、ふ化したばかりの稚魚を食用サイズになるまで育てる「養殖」以外に、稚魚がある程度まで育ったら海に放流し、大きく育ったものを漁獲する「水産増殖」の取組みも、国内各地で行われています。いずれの場合も、河川水や海水を飼育に用いたり、いけすそのものを海中に設置したりするのですが、飼育環境にウイルスや細菌が紛れ込んでいると感染症が発生します。すでに感染症にかかっている親魚から卵に垂直感染するケース、感染した野生の魚がいけすに侵入し、感染症をうつすケースなどもあります。これらの感染源を特定し、養殖魚を感染症から守る方法を研究するのが、「魚病学」という学問領域です。

魚病学が、日本の魚と水産業を守る

 日本では、計24種の魚類・甲殻類・貝類の感染症が「監視対象」に指定されています。加えて、監視対象外の感染症による被害も継続して発生しています。そこで、水槽に入れる海水を紫外線で殺菌処理したり、親魚の感染症検査を行ったりして、感染リスクの低減に取り組んでいます。ワクチンを注射したり、エサに混ぜたりして、免疫をつけさせる方法も実施されるようになりました。魚の種類は数え切れないほど多く、海水中のウイルスや細菌も次々と新種が発見されています。魚病学の研究に終わりはありません。


この学問が向いているかも 魚病学、水産学

北海道大学
水産学部 水産科学院/ 水産科学研究院 准教授
笠井 久会 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 あなたは大学を、どんな基準で選ぼうと考えていますか。偏差値や知名度ばかり重視して大学選びをすると、入学しても自分が学びたい内容の講義が見当たらないという、ミスマッチのリスクが高くなります。学びたい学問と大学とのミスマッチを防ぐためには、自分が関心や興味を持っている分野をはっきりさせ、それを伸ばせる学部・学科を持つ大学を、事前に調べておくことが大切です。
 入学した後で後悔しないために、そして充実した大学生活を送るために、興味・関心のアンテナを大きく広げるようにしてください。

先生の学問へのきっかけ

 北海道東部の海沿いのまちで生まれ育ったため、子ども時代から畜産や漁業を身近に感じていました。大学進学を考え始めた頃は、ちょうど「バイオテクノロジー」の注目度が高まっており、私自身も関心を持っていたので、バイオテクノロジーを学べる大学を選びました。生化学に関するさまざまな実験を行っているうち、実験用サンプルが不足しがちな他の実験と違い、微生物だけは自分自身で増やせることに楽しさを感じ、また研究室の先生に連れられて魚の孵化場を見学しているうちに、現在の研究分野にたどり着きました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

国立研究機関研究員/公設試研究員/製薬会社研究員/電機官公庁水産資源管理/地方公務員水産行政/食品会社製造開発/養殖会社生産管理/飼料メーカー開発営業/化学メーカー研究開発

大学アイコン
笠井 久会 先生がいらっしゃる
北海道大学に関心を持ったら

 北海道大学は、学士号を授与する日本最初の大学である札幌農学校として1876年に創設されました。初代教頭のクラーク博士が札幌を去る際に学生に残した、「Boys, be ambitious!」は、日本の若者によく知られた言葉で本学のモットーでもあります。また、140余年の歴史の中で教育研究の理念として、「フロンティア精神」、「国際性の涵養」、「全人教育」、「実学の重視」を掲げ、現在、国際的な教育研究の拠点を目指して教職員・学生が一丸となって努力しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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