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講義No.11465

自分の心の中のフィルターに気づいていますか?

「読む」ことも心理学

 人の行動には、必ずその人の心の動きが影響しています。心の動きはその人の思考や理解、行動に影響を及ぼします。それは「読む」という行動にも作用します。ここで言う「読む」とは、「文章を理解すること」なのですが、私の研究の対象は、比較的自由な解釈が許される小説や物語ではなく、「著者が言いたいことを論理的に書き、読む側も同じ理解になるよう配慮された説明文」を指します。そうした文章でさえも、人によって理解が異なるのです。

文章は、「その人なり」の読み取りをされる

 読解力という問題を抜きにしても、同じ説明文を読んで全員が同じ理解を得ているとは限りません。なぜなら、その人なりの読み取りをされてしまうからです。よくあるのが、それまでの人生で培ってきた信念や意見が影響する場合です。それらがフィルターとなり、気づかないうちに頭の中で独自の理解を作り上げてしまうことがあるのです。また受験テクニックのような知識が影響する場合もあります。受験では読解力を高めるテクニックとして、たいてい「大事なことは文章の最後の方に書かれている」と教わりますね。でもそのために誤読が生じることもあるのです。私たちの実験で、大学生に最後と途中の段落をわざと入れ替えた文章を読んでもらい、重要な部分はどこかと尋ねました。すると、入れ替える前は、最後の段落を重要と答える人が多かったのに、入れ替えたら、本来は途中にあった段落を重要と答える人が増えました。丁寧に読めばわかるはずなのですが、ついテクニックで得た思考の枠に頼っているのです。

自分の読み取り方の特徴を知ろう

 ただ、自分の思考の枠があるのは悪いことではありません。思考するうえで効率的ですし、余った力を別の大切な思考に振り向けられます。ポイントは、その人が持つ知識や信念などが、無意識のうちに文章の理解に影響するということを知っておくことだと思います。文章に本当に書いてあることなのか、それとも自分の意見や感想なのかを分けて考えることが大切なのです。


この学問が向いているかも 教育心理学

札幌学院大学
人文学部 人間科学科 教授
舛田 弘子 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 将来が見えない、自分が何者になれるか不安を覚える、今のような時期にやってほしいことは、まず何にでも一生懸命に取り組むことです。遊びや部活動に、もちろん勉強にも。
 もう1つは、自分自身の気持ちに丁寧に寄り添い、味わうことです。例えば失恋も、それまでたどってきた自分の思いと共に丁寧に味わってみましょう。つらいですが、将来決して無駄にならない作業です。特に教師をめざす人にとって、自分の心に感情や経験の引き出しを作ることは、将来生徒や保護者、地域社会を理解するうえで役立つでしょう。

先生の学問へのきっかけ

 高校生の時、心理学者の河合隼雄が書いた『昔話と日本人の心』を読み、物語と人の心を関連付けて分析できることに驚き、心理学、中でもユング心理学やフロイトの精神分析の理論に興味を引かれました。当初カウンセラーを志望しましたが、カウンセリングは心理学でも応用的な分野なので、基礎を学ぶために教育心理学の講座がある大学院へ進みました。大学院で出会った先生の授業が大変面白く、強い影響を受けてそのまま教育心理学の道へ、そして読書が人に及ぼす影響について研究を進めています。

大学アイコン
舛田 弘子 先生がいらっしゃる
札幌学院大学に関心を持ったら

 『学生と共に大学を創る』、この学園創立以来の考え方は現在も『学生・教員・職員のコラボレーション』という気風として脈々と受け継がれています。
 学園創立から数えると50,000人を超える卒業生を社会に送り出しており、学部・学科にとらわれない幅広い科目履修制度や、徹底した少人数教育による指導、また卒業後の就職に対応するため、低学年時からのキャリア教育科目の開講や多種多様で豊富な資格講座など、学生の興味関心に合わせた教育システムが特色です。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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